2006 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプスのノシセプチン代謝に基づく抗痴呆薬の創薬
Project/Area Number |
18590068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜田 誓 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (30279244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 孝則 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (80265404)
桜田 司 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (80124907)
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Keywords | 痴呆 / 脳神経疾患 / ノシセプチン / 海馬 / 代謝 / ペプチダーゼ |
Research Abstract |
動物を用いた行動薬理実験で、ノシセプチンは学習・記憶形成に対し抑制的に作用していることが報告され、記憶障害を伴う痴呆性疾患の治療薬として、ノシセプチンの作用を抑制する薬剤が切望されている。元来、ノシセプチンは、脊髄における疼痛伝達・調節物質として発見された神経ペプチドである。本研究代表者は、「痛みの伝達・制御におけるノシセプチン代謝の重要性(平成12年〜13年奨励研究A)」において、脊髄シナプスにおけるノシセプチンの代謝過程を明らかにし、ノシセプチンの主要代謝物がノシセプチンの生理作用に拮抗することを発見した。具体的には、ノシセプチンの脊髄くも膜下腔内投与によって誘発される疼痛関連行動に対するノシセプチンの主要代謝産物の効果を解析したところ、用量依存的にノシセプチン誘発性疼痛関連行動を抑制した。同様なロジックが海馬シナプスのノシセプチン分解系にも適用できると考えている。そこで、平成18年度の研究では、海馬シナプスにおけるノシセプチンの分解に関与する膜結合性ペプチダーゼを調べる目的で、ラット海馬シナプス膜標品によるノシセプチンの分解を解析した。代謝物の分離分析は、逆相カラムを用いたHPLCにより行い、その同定はアミノ酸組成分析・質量分析により行い、いくつかの主要代謝産物を明らかにした。今後、種々のペプチダーゼ阻害剤による効果を調べ、分解の引き金を引く主要なペプチダーゼを推察する。また、ノシセプチンの主要代謝産物が、ノシセプチン誘発性の学習・記憶障害に拮抗するかを行動薬理的手法で明らかにし、抗痴呆薬としての可能性を探る。
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