2008 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプスのノシセプチン代謝に基づく抗痴呆薬の創薬
Project/Area Number |
18590068
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜田 誓 Nihon Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (30279244)
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Keywords | 痴呆 / 脳神経疾患 / ノシセプチン / 海馬 / 代謝 / ペプチダーゼ |
Research Abstract |
動物を用いた行動薬理実験で、ノシセプチンは学習・記憶形成に対し抑制的に作用していることが報告され、記憶障害を伴う痴呆性疾患の治療薬として、ノシセプチンの作用を抑制する薬剤が切望されている。元来、ノシセプチンは脊髄における疼痛伝達・調節物質として発見された神経ペプチドである。本研究代表者は、脊髄シナプスにおけるノシセプチンの代謝過程を明らかにした。また、ノシセプチンの分解の引き金を引くペプチダーゼの特異的阻害剤が、ノシセプチンの脊髄くも膜下腔内投与によって誘発される疼痛関連行動を優位に増強させた。即ち、分解の引き金を引くペプチダーゼがノシセプチンの生理作用の終結に関与していることが示唆された。さらに、ノシセプチンの主要代謝産物が、ノシセプチンの生理作用に拮抗することを発見した。同様なロジックが海馬シナプスのノシセプチン分解系にも適用できると考えている。そこで、海馬シナプスにおけるノシセプチンの分解に関与する膜結合性ペプチダーゼを調べる目的で、ラット海馬シナプス膜標品によるノシセプチンの分解を解析した。代謝物の分離分析は、逆相カラムを用いたHPLCにより行い、その同定はアミノ酸組成分析・質量分析により行い、いくつかの主要代謝産物が明らかとなった。更に、種々のペプチダーゼ阻害剤による効果を調べ、分解の引き金を引く主要なべプチダーゼを推察できた。このような観点から、ノシセプチン分解の引き金を引くペプチダーゼの活性増強を目指した薬剤の創薬は、記憶障害を伴う痴呆性疾患の治療薬として有用かもしれない。
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