2006 Fiscal Year Annual Research Report
内在性低酸素応答性転写抑制因子HIF-3αの性状解析と抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
18590071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
原 俊太郎 昭和大学, 薬学部, 助教授 (50222229)
|
Keywords | 低酸素応答性転写因子 / HIF / 腫瘍血管新生 / 前立腺がん / 転写調節 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍血管新生において重要な役割を担う低酸素応答性転写因子HIFの3つのアイソフォームのうち、内在性の抑制因子としてはたらくHIF-3αに注目し、その性状を明らかにし、かつその抗腫瘍効果を検討することを目的としている。本年度は、HIFと前立腺がんとの関連を検討しつつ、HIF-3αのsplicing variantの1つHIF-3α2の性状解析、HIF-3α遺伝子のプロモーター解析を行った。 1.前立がん細胞におけるHIFの機能の解析:前立腺がん細胞LNCaP細胞では、前立腺がんのマーカーであり、またその浸潤・進展に関与することが示唆されているProstate-specific antigen (PSA)の遺伝子発現がHIFにより調節されていることを明らかにした。また、その調節にはHIF-1とアンドロゲン受容体の相互作用が重要であることを見いだした。HIF-1の活性を抑制するHIF-3αはPSAの発現低下を介し、前立腺がんの浸潤・進展を抑える可能性が考えられた。 2.HIF-3α2の性状解析:HIF-3α2は他のsplicing variantであるHIF-3α1とほぼ同一の構造をもち転写活性化ドメインを有するにも関わらず、低酸素応答配列を介する転写を全く活性化しない。HIF-3α2のC末端の欠失変異体を用い、HIF-3α2のC末端12個のアミノ酸からなる領域がその転写活性化能を抑制していることを明らかにした。 3.HIF-3α遺伝子のプロモーター解析:HIF-3αの転写開始点は少なくとも3種類存在するが、このうち1cと呼ばれるエキソン上流の5'-フランキング領域をクローニングし、この領域の遺伝子を含むレポーター遺伝子を作製した。さらに、このレポーター遺伝子をCOS-7細胞に導入し、この領域を介する転写が細胞の低酸素刺激により上昇することを見いだした。
|