2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症・免疫系における2-アラキドノイルグリセロールの生理的役割の解明
Project/Area Number |
18590074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 教授 (40130009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 純 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80230415)
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Keywords | 2-アラキドノイルグリセロール / アナンダミド / マリファナ / アレルギー / 炎症 / 抗炎症薬 / 脂質メディエーター / エイコサノイド |
Research Abstract |
2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、研究代表者らが1995年に見い出した脂質メディエーターである。今回の研究により、 1 オキサゾロンで誘発したマウス耳介のアレルギー性皮膚炎の局所において、2-AG量が増加していることを明らかにした。一方、アナンダミドの量は極くわずかなものでしかなく、その変化も有意なものではなかった。注目すべきことに、CB2受容体のアンタゴニストであるSR144528は、オキサゾロンで誘発したマウス耳介のアレルギー性皮膚炎モデルにおいて観察される耳介の腫脹や単核球の浸潤を強く抑制した。 2 オキサゾロンを反復投与して作製した慢性アレルギー性皮膚炎モデルにおいて、2-AG量の著しい増加が見られることを明らかにした。さらに、CB2受容体のアンタゴニストであるSR144528が、耳介の腫脹および好酸球の浸潤を抑制することを明らかにした。 3 2-AGが、CB2受容体を介して好酸球の血管内皮細胞への接着を亢進させること、血管内皮細胞をトロンビンやTNF-αで刺激したときに観察される血管内皮細胞への好酸球の接着にも、2-AGとCB2受容体が関与していることなどを明らかにした。 4)2-AGはヒト好酸球を効率よく遊走させることが明らかとなった。その活性はRNATESやエオタキシンに匹敵するものであった。 5 CB2受容体アンタゴニストだけでなく、CB2受容体アゴニストも、in vivoでは抗炎症効果を発揮することが示された。これは、内在性アゴニストである2-AGの作用を妨害したためであると考えられた。 以上の結果は、カンナビノイドCB2受容体とその内在性リガンドである2-AGが、生体内において、各種の炎症に深く関与していることを強く示唆するものである。
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Research Products
(3 results)