2007 Fiscal Year Annual Research Report
肥満の病態生理における長鎖アシルCoAチオエステラーゼの機能解明
Project/Area Number |
18590075
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山田 純司 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 准教授 (60200721)
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Keywords | 肥満 / 脂肪酸代謝 / 酵素 / 脂肪組織 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
モデル動物としてラットを用い、主要なアシルCoAチオエステラーゼ(ACOT)分子種について以下の検討を行った。1)ACOT分子種の特性:バクテリア発現系を用いてACOT9精製標品を調製し、この分子種が炭素数C2-C16のアシルCoAに対して幅広い鎖長特異性を示し、特にC10-CoAに対して高い親和性を示すことを明らかにした。また、白色脂肪組織(WAT)のうち腸間膜WATにおいてACOT2,7が発現していることを初めて明らかにし、心臓や褐色脂肪組織(BAT)に匹敵する高いアシルCoA加水分解活性を検出した。2)ACOT分子種の発現変化と調節機構:高脂肪食負荷ラットや心肥大モデルなどを用いてACOT分子種の発現変化を調べ、心臓ではACOT2が環境変化に則したアシルCoA加水分解活性を提供するのに対して、ACOT9は基礎レベルの活性維持に寄与することを示唆した。その結果、心筋ACOTは、アシルCoAプールを適正なサイズに維持して正常なβ酸化の進行を促し、アシルCoA蓄積によるミトコンドリアストレスの発生に対して防御因子として機能するという仮説を提示した。また、BAT ACOT2は脂肪酸酸化の促進に、腸間膜WATACOT7は脂肪酸分泌の促進に寄与することを示唆した。これまでACOTの機能に関する研究は脂肪酸酸化を中心に行われてきたが、今回、心臓やBATにおける脂肪燃焼だけでなく、WATからの脂肪酸動員においてもACOTの関与を新たに提案した。それぞれの発現調節に関しては、ACOT1,2,7がPPARαを介して誘導されるのに対し、ACOT9,11はPPARαにもPPARγにも影響されないことを示した。さらに培養褐色脂肪細胞を用いた検討から、BATにおけるACOTの発現レベルは、基質レベルの変化よりも神経や内分泌系など、他の制御機構に依存するものと考えられた。
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Research Products
(4 results)