2008 Fiscal Year Annual Research Report
肥満の病態生理における長鎖アシルCoAチオエステラーゼの機能解明
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18590075
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山田 純司 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 准教授 (60200721)
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Keywords | 肥満 / 脂肪酸代謝 / 酵素 / 脂肪組織 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの予防と治療を考える上で肥満に伴う脂質代謝異常や脂肪毒性発現のメカニズムを解明することは重要な研究課題である.本研究では,脂肪酸の活性化代謝中間体であるアシルCoAに注目し、その加水分解酵素であるアシルCoAチオエステラーゼ(ACOT)分子種についてラットを用いて検討した.脂肪組織におけるACOTの分布を調べた結果,褐色脂肪組織にはACOT2,白色脂肪組織のうち皮下脂肪にはACOT1,腸間膜脂肪にはACOT7が主要な分子種として発現しており,細胞内分布と酵素学的特性の相違に関連して,脂肪酸燃焼や脂肪酸動員におけるそれぞれの役割が示唆された.特に,高脂肪食を摂取させると腸間膜脂肪ACOT7の発現レベルは4週間で70%程度になり,20週間後には40%にまで低下した.一方,ヒト単球由来THP-1細胞株を用いた検討から,ACOT7は単球に高発現しており,マクロファージに分化誘導するとそのレベルが40%程度に低下すること,しかしPPARリガンド処理により元のレベルにまで誘導されることを初めて明らかにした.近年,メタボリックシンドロームを全身性の軽度慢性炎症性疾患として捉え,内臓脂肪における脂肪細胞の肥大化とそれに伴うマクロファージ浸潤に基づく炎症性変化がインスリン抵抗性の発現に重要な役割を果たすことが明らかになってきた.ACOT7がマクロファージにおけるプロスタグランジンの産生調節に関わることと合わせると,今回の検討結果から,腹部肥満によって引き起こされる内臓脂肪組織での脂肪酸代謝の変化,さらにインスリン抵抗性改善薬によるその是正効果にACOTが関与する可能性が考えられた.
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Research Products
(4 results)