2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590080
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
石垣 靖人 Kanazawa Medical University, 付置研究所, 講師 (20232275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹上 勉 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (10113490)
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Keywords | 早期老化 / DNAマイクロアレイ / 変異遺伝子 |
Research Abstract |
ウェルナー症候群(WS)は日本人に高頻度でみられる劣性遺伝疾患で早期老化症状を特徴とする。本研究ではWSと確定診断されていたにもかかわらず、典型的なWS細胞とは異なり分離された培養細胞の分裂寿命が長い患者がいることを見いだし、患者由来細胞の性格付けを行ってきた。この疾患患者群は便宜的に疑ウェルナー症候群(Questionable Werner's syndrome;Q-WS)と名付けられ、日本国内で細胞バンクに登録されたものを含めて少なくとも3〜4例が発見されている。本研究の目的は、WSの網羅的な遺伝子発現解析を行うと同時に、臨床症状を示しながら細胞の分裂寿命が短縮していないQ-WSの早期老化症状を引き起こす原因遺伝子あるいは発現クラスターの解析を行うことによって、新しい老化の分子モデルを提案することである。これらの研究を展開することによって、老化あるいは老衰の制御に道を開くことが本研究の最終的な目的である。 WS細胞における網羅的遺伝子発現解析結果をパスウエイ解析してみたところ、様々な細胞周期関連遺伝子にくわえて炎症や免疫関連遺伝子群が変動していた。この傾向はQ-WSについても観察され同様の機序で早期老化が起きている可能性が考えられた。Q-WS細胞において、遺伝情報品質管理機構のひとつである、ナンセンス変異依存mRNA分解機構を特異的に抑制し発現が回復する遺伝子群をDNAマイクロアレイシステムで同定することによって原因遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、候補遺伝子を200個程度まで絞り込むことができたが決定的な変異遺伝子を見いだすことはできなかった。さらに染色体の構造異常についても染色体標本及びSNPsアレイによる解析を行ったものの、明確な欠失や構造異常は見いだせなかった。また、変異遺伝子の機能解析を目的としたノックダウン法の改良もすすめ成果を著書にまとめた。
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