2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋芽細胞の分化に関与する新規微小管結合蛋白質の特性
Project/Area Number |
18590082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平山 恵津子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10247786)
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Keywords | 細胞分化 / 骨格筋 / 筋芽細胞 / 筋管形成 / 微小管 / 神経細胞様突起 |
Research Abstract |
骨格筋の分化形成過程における筋管形成機構を解明する一環として、未だ前管形成には至らない形質転換ウズラ胚筋芽細胞(QM-RSV細胞)と筋管形成を開始したQM-RSV細胞各々で発現する遺伝子集団を用いてsubtraction法を行い、筋管形成時に発現量が増加する-遺伝子(AB128922)を得ている。この遺伝子のアンチセンスcDNAをQM-RSV細胞に導入し筋分化過程での発現を抑制すると筋管形成が阻害される事、未分化QM-RSV細胞でその遺伝子産物を強制発現させると神経細胞様の突起を誘導する事、微小管重合阻害剤がこの突起形成を阻害する事等から、本遺伝子産物は筋管形成や微小管の動態に関与する事が示唆された。しかしながら、本遺伝子産物はその機能を類推し得る様な既知の機能ドメインを全く持たず、分子特性について何ら手がかりを見出せない。そこでその分子特性を明らかにすべく、本遺伝子産物の幾つかの断片を大腸菌内でGST(glutathione-S-transferase)との融合蛋白質として合成し、これらを抗原としてポリクローナル、及び単クローナル抗体を各々作製した。QM-RSV細胞内でその抗原の分布をこれら抗体を用いた間接蛍光染色法で観察した所、細胞質全体に粒子状の分布を観察した。ところが、数種の単クローナル抗体では、微小管の分布と一致する染色像が観察され、これら単クローン抗体は免疫ブロッティングでも微小管の構成因子であるtubulinを認識した。一方、これら単クローン抗体が本来の抗原である本遺伝子産物を認識する事も確認した。単クローン抗体は極めて限られたエピトープのみを認識する為、抗原と異なる蛋白質でもエピトーブと似た構造があれば認識する場合かおる。従って、作製した単クローナル抗体がtubulinと反応する事は本遺伝子産物がtubulinと似た構造を有する為と考えられた。更に、tubulinと反応する単クローナル抗体のエピトープが1072アミノ酸よりなる本遺伝子産物の第179から187番目の9アミノ酸であった事から、この9アミノ酸周辺の構造がtubulin様の構造をとると思われた。又、このエピトープ部分を含む第173から207毎日のアミノ酸を欠いた変異体をQM-RSV細胞に強制発現させた所、神経細胞様の突起は形成されず、この領域が機能的に重要な役割を担う事も示唆された。
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