2007 Fiscal Year Annual Research Report
EGF受容体ファミリー間の二量体化を標的とした抗がん剤の開発
Project/Area Number |
18590088
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊藤 文昭 Setsunan University, 薬学部, 教授 (80111764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
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Keywords | EGF受容体 / 抗体医薬 / チロシンキナーゼ阻害剤 / ErbB2 / ErbB3 / 抗がん剤 / 非小細胞肺がん / 分子標的薬 |
Research Abstract |
多数のがんにおいて上皮増殖因子(EGF)受容体の過剰発現や活性化が起きており、EGF受容体は抗がん剤の標的となっている。セツキシマブなどのEGF受容体に対する抗体医薬は分子標的薬として注目されているが、その詳細な作用メ.カニズムの解明、副作用、耐性の問題など臨床の場で使用されるには克服すべき多くの点がある。私達はEGF受容体を標的とする抗体医薬の開発を目指して、昨年度、EGF受容体に対するモノクローナル抗体(B4G7)のヒト培養がん細胞株への作用を調べ、B4G7が予想に反してがん細胞の増殖を促進するζとを見つけた。そこで、本年度は増殖促進が最も顕著なヒト非小細胞肺がんPC-14を用いて、その増殖促進シグナルを解析した。EGF受容体チロシンキナーゼの特異的な阻害剤であるAG1478によりその増殖促進活性を抑えることはできず、B4G7はEGF受容体の活性化を介して増殖促進活性を示すのではないことが示唆された。EGF処理ではEGFR/ErbB2の二量体が形成されるのに対し、B4G7はErbB2/ErbB3の形成を促進し、ErbB3のチロシンリン酸化を引き起こすことが分かった。また、ErbB2チロ「シンキナーゼの阻害剤AG825を共存させると、このErbB3のリン酸化が阻害されると共に、B4G7による細胞増殖促進も完全に抑えられた。以上より、B4G7はEGF受容体に結合することにより、EGF受容体とErbB2との二量体化を抑え、その結果、ErbB2はErbB3との二量体を形成して、増殖シグナルを伝達することが分かった。EGF受容体を標的とする抗体は、その抗体が認識するエピトープの違いにより、がんに対して異なる作用を示す可能性が考えちれた。
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