2006 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌の外膜成分リモデリングによる宿主適応に関する研究
Project/Area Number |
18590091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
川崎 清史 同志社女子大学, 薬学部, 准教授 (60270641)
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Keywords | サルモネラ菌 / lipid A / 活性抑制 / アミノアラビノース修飾 / 外膜 / アラニン置換 |
Research Abstract |
PagLはサルモネラ菌外膜に局在する8回膜貫通型タンパク質であり、細胞外ドメインに4つのループ構造(L1〜L4ループ)を持つ。PagLの活性は外膜に表面電荷をプラスに変える作用を有するアミノアラビノース修飾型lipid Aが存在すると抑制される。一方、緑膿菌PagLではこの抑制は見られない。サルモネラ菌Pag Lは緑膿菌PagLに比べ4つのループ構造内の極性アミノ酸含量が約2倍多いことから、この抑制にはループ内電荷の関与が考えられた。そこで本研究ではこれらのループがPagLの活性抑制に関わるかを検証することを目的として、種々の変異型PagLを作成してそれらにアミノアラビノース修飾型LPSによる活性抑制が認められるか検討した PagLのL1およびL3ループに存在するR43,R44,D133,R135の極性アミノ酸をアラニンに置換した変異体では、lipid A脱アシル化がみられた。この時のPagLの発現量は同程度であったことから発現量の増加に伴うものではなく、PagLの活性抑制の解除が起きたことが原因であると考えられた。次にこの活性抑制が見られなかった変異体(R43,R44,D133,R135)について、同じ極性を持つアミノ酸への置換を行った。しかしながら、いずれの変異体でも活性抑制が解除されたので、これらのアミノ酸の電荷だけが大切なのではないと考えられた。従って、R43,R44,D133,R135はPag Lのlipid Aアミノアラビノース修飾依存の活性抑制に関与していると考えられた。また、活性抑制に関わるアミノ酸は1つのループに局在するのではなく、複数のループに分散していたので、PagLの全体的な構造が抑制に重要であることが推察された。
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