2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根矢 三郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (10156169)
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Keywords | 人工酸素運搬体 / ミオグロビン / 酸素親和性制御 / コルフィセン / 配位子場 / 配位子結合定数 |
Research Abstract |
申請者は血液中の酸素貯蔵タンパク質であるミオグロビンを機能変換し、酸素運搬体に変換する試みを実施した。ミオグロビン自身は酸素親和性が高く、結合酸素を放出する能力が乏しく血液中のヘモグロビンのような酸素運搬能力に欠ける。その理由は酸素結合部位であるプロトヘムの分子構造にある。プロトヘムはテトラピロールが正方形に並んだ分子構造をもつが、この構造を崩せば酸素親和性が下がると予想される。この目的のため、テトラピロールを正方形から台形に並べ替えたコルフィセンとよばれる異性体分子を合成した。 申請者はコルフィセン分子には電子吸引基であるカルボン酸エステル基の結合部位が異なる2種異性体でミオグロビンを再構成して機能を比較した。その結果、エステル基の影響がコルフィセン分子の場所により変動することを見つけた。具体的には、エステル基が台形分子の上辺(短辺)にある場合のほうが、下辺(長辺)にある場合よりも影響がより強く現れ、酸素親和性低下が8倍も低下した(P_<50>値は300mmHg)。この理由を探るために、再構成したミオグロビンのヘム鉄を酸化してシアン、アジド、フッ素イオンなどの配位子結合定数を解析した。その結果、エステル基が台形分子の上辺(短辺)にある場合、その電子吸引効果がより効果的に現れることが判明した。さらに、酸化型ミオグロビンのアジド化合物でスピン平衡とよばれる現象を解析した。この解析から軸配位子(アジドイオン)がヘム鉄の配位子場の強さを評価できるが、エステル基の結合部位が異なる2種の再構成ミオグロビンにおいて、やはり台形分子の上辺(短辺)にあるほうが配位子場は強いことが分かり、配位子結合の結果と矛盾しなかった。これらの成果は米国化学会のInorg. Chem. 2006,45,4238-4242に公表された。
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Research Products
(6 results)