2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590094
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根矢 三郎 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授 (10156169)
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Keywords | ミオグロビン / 鉄コルフィセン / 酸素結合 / 人工酸素運搬体 / 酸素分圧 |
Research Abstract |
医療や災害時に血液供給は不可欠である。筋肉中の酸素貯蔵物質であるミオグロビンを人工血液材料に変換する目的で研究を行った。ミオグロビンの酸素親和性を下げて酸素放出能力を高めるために,補欠分子であるヘムをコルフィセンとよばれる人工ポルフィリン異性体の鉄錯体で置き換えた。酸素平衡曲線や種々の分光法の結果から,鉄コルフィセンはミオグロビンのヘムポケット内部に収納されていることが判明した。酸素平衡特性を解析すると,ミオグロビンの酸素親和性はP_<50>=6.7mmHgとなり,天然ミオグロビンの1/10まで低下した。静脈血および静脈血の酸素分圧差を考慮すれば,これよりミオグロビンの酸素運搬能力が天然ミオグロビンよりも8倍増えたと判明した。コルフィセン分子に電子吸引性置換基であるエトキシカルボニル基をジピロエテン部位に導入すると,P_<50>=37mmHgとなり酸素運搬能力は21倍増加した。この結果は,ミオグロビンがヘモグロビンなみの酸素運搬能力を獲得したことを示し,ミオグロビンを用いた人工酸素運搬体が開発できることが明らかとなった。エトキシカルボニル基をビピロール部位に導入した鉄コルフィセンをもつミオグロビンではP_<50>=300mmHgとなり,酸素放出能力は増加したものの,酸素親和性も同時に低下したため,酸素運搬能はかえって低下した。以上の研究からコルフィセンを用いることによりミオグロビンの酸素親和性を自在に制御できる可能性が初めて示された。この成果はミオグロビンを使う人工酸素運搬体が開発できることを示すものである。
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Research Products
(6 results)