2007 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症治療をめざした核内炎症性サイトカインを標的とする阻害剤開発の基礎研究
Project/Area Number |
18590100
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊東 祐二 Kagoshima University, 工学部, 准教授 (60223195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 和久 鹿児島大学, 工学部, 教授 (80127240)
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (30284897)
橋口 周平 鹿児島大学, 工学部, 助教 (40295275)
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Keywords | HMGB-1 / ヒト抗体ファージライブラリ / 敗血症 / THP-1 / IL-8 |
Research Abstract |
本研究の目的は、敗血症の治療薬開発を目標に、近年、敗血症の原因の一つと考えられているHMGB-1(High Mobnity Group Box Protein-1)を標的とした抗炎症活性をもつ阻害剤として、既に我々が確立しているヒト抗体ファージライブラリから抗HMGB-1ヒト抗体を、またランダムペプチドファージライブラリからHMGB-1に対する結合ペプチドを単離し、それらの作用機構を基に、HMGB-1による炎症遷延、増悪、個体レベルでの致死性のメカニズムを明らかにすることである。本研究にて、HMGB-1に特異的に結合するヒト抗体(単鎖Fv抗体)を2種類、ヒト抗体ファージライブラリを用いて単離した。これらの抗体は、HMGB-1のB-boxドメインに特異的に、Kd値で30-47nMの強さで結合した。これらの抗体のうち、1つは、単量体構造ではなく、2量体構造(ダイアボディ)で存在することが明らかになった。これらの抗HMGB-1抗体の生物活性を評価するため、THP-1細胞によるHMGB-1刺激下でのIL-8分泌に対するこれらの抗体の活性を評価したところ、これらの抗体は、HMGB-1によるIL-8酸性を阻害せず、むしろダイアボディの抗体では、強力にIL-8酸性を促した。これらの結果は、今回得られた抗体には、HBGB-1の炎症増強効果を阻害する活性は持っていないこと、また、2価性の抗体は、HMGB-1の炎症誘導効果を増強させることを明らかにした。また、HMGB-1に結合するペプチドについては、ランダムペプチドファージライブラリを用いて単離を試みたが、HMGB-1への非特異的な結合のため、特異的なペプチドの単離は達成できなかった。現在、HMGB-1特異的な結合リガンドのデザインを、非特異的な結合活性を抑えるような添加剤を用い、検討を行っている。
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Research Products
(7 results)