2007 Fiscal Year Annual Research Report
味覚修飾タンパク質の構造・機能解析に基づく味覚修飾物質の分子デザイン
Project/Area Number |
18590101
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
栗本 英治 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 助教 (90234575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 晃一 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211849)
山口 芳樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (90323451)
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Keywords | 味覚修飾タンパク質 / クルクリン / 甘味受容体 / 構造生物学 |
Research Abstract |
(1)アミノ酸部位特異的変異導入による解析から、クルクリン2サブユニットのHis36が味覚修飾活性に重要な役割を担っていることが明らかとなり、このヒスチジン残基のプロトネーションが酸を甘く感じさせる活性の発現と関連していることが予測された。そこで、NMRにより求めたこのヒスチジン残基のpH滴定曲線と官能評価により調べた味覚修飾活性発現のpH依存性を比較した。その結果、両者はよく一致することが明らかとなり、クルクリン2サブユニットのHis36のプロトネーションが味覚修飾活性発現に直接関与していることが示唆された。 (2)受容体側からクルクリンの味覚修飾活性の発現メカニズムにアプローチするために、種々の手法を用いて甘味受容体(T1R2/T1R3)の発現系構築を試みた。このうち昆虫を利用した系において、細胞外液に甘味受容体が発現されたことをウエスタンブロットにより確認することができた。一方、大腸菌において低温で発現を誘導するシステムであるpColdベクターを用い、甘味受容体を封入体として大量に発現させる系を構築した。得られた封入体からのリフォールディングを種々の方法により試みている。 以上のように、昆虫および大腸菌を用いた系により甘味受容体の大量調製系確立に向けての基礎を築くことができた。しかし、昆虫を用いて発現させた受容体は不安定で精製が困難であり、発現された受容体の安定化の為に様々な工夫を図ることが今後重要と考えられる。大腸菌により発現された封入体からのリフォールディングの際にも、同様な手法を凝らす必要がある。
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