2006 Fiscal Year Annual Research Report
γ-ヒドロキシラクタムをファーマコフォアとして有する生物活性物質の合成と機能解明
Project/Area Number |
18590108
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内呂 拓実 東京理科大学, 薬学部, 准教授 (00307711)
|
Keywords | 生物活性物質 / 医薬分子設計 / 有機合成化学 / 生体機能解明 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
初年度は、γ-ヒドロキシラクタム構造を有する新規抗菌性物質であるPyrrocidine Aを合成目標として選択し、まずデカヒドロフルオレン骨格部位の合成について検討した。その結果、鍵反応である分子内Diels-Alder反応の主生成物は、9-14位間の立体化学が予期したcis体ではなくtrans体であることが明らかになった。そこで、合成目標を9-14位間の立体化学がtrans型であるGKK1032A2に切り替えてさらに検討を行ったところ、GKK1032A2の全ての構造的要素を満たしたデカヒドロフルオレン骨格部位の合成に成功した。これにより、ターゲット分子に対する認識部位と予想している疎水性骨格部位の合成法を確立することができた。今後は、8位水酸基に導入した保護基の立体障害を利用するとともに、ジエノフィル部位の構造の見直しを図ることにより、分子内Diels-Alder反応の立体選択性を逆転させ、Pyrrocidine Aのデカヒドロフルオレン骨格部位の合成についてもこれを達成したいと考えている。 一方、γ-ヒドロキシラクタム構造の構築法についてさらに詳細な検討を行った結果、出発物質となるγ-(4-プロモベンジル)-γ-ブチロラクトンの効率的合成法を見出すとともに、デカヒドロフルオレン骨格のC環部位との連結を考慮したγ-ヒドロキシラクタムへの誘導法の確立にも成功した。現在、残るB環部との連結およびγ-ヒドロキシラクタム部位の脱保護について検討しており、これを達成することにより、GKK1032A2の全合成を達成したいと考えている。 これらの検討を通じて、α-アシル-γ-ヒドロキシラクタムの一般的合成法を確立することができた。これにより、γ-ヒドロキシラクタム構造をファーマコフォアとして有する新規酵素阻害剤の探索合成が可能な状況となったので、その分子設計について本格的な検討を開始した。
|