2008 Fiscal Year Annual Research Report
γ-ヒドロキシラクタムをファーマコフォアとして有する生物活性物質の合成と機能解明
Project/Area Number |
18590108
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内呂 拓実 Tokyo University of Science, 薬学部, 准教授 (00307711)
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Keywords | γーヒドロキシラクタム / 血小板凝集 / HIVインテグラーゼ / トリパノソーマ / インスリン / プロテインチロシンホスファターゼ / in silico / II型糖尿病 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、γ-ヒドロキシラクタム構造をもつ天然由来生物活性物質の合成について検討した結果、血小板凝集抑制物質PI-090および091の全合成を達成することができた。また、HIVインテグラーゼ阻害剤Oteromycinの全合成についても、最終段階である脱保護を残すのみとなった。抗腫瘍性物質GKKIO32A2の全合成については、必要な全ての炭素骨格と望みの立体化学をもつ中間体の合成に成功したが、歪みの大きな13員環の構築は困難であった。そこで、従来の分子内エーテル環化反応によるアプローチを断念し、分子内Barbier型反応を利用する新たな合成計画を立案した。現在、この計画に基づいた13員環構築について検討中である。一方、昨年度までに確立した収束型の合成法に基づき、天然物の化学構造にとらわれないγ-ヒドロキシラクタムの探索合成を行った結果、16種類の新規化合物を合成することができた。これらの生物活性について検討した結果、α位にシクロヘキシル基、γ位にベンジル基をもつ化合物に抗トリパノソーマ活性が認められることが明らかになった(北里研究所乙黒、大村らとの共同研究)。これについては、現在さらなる構造最適化について検討中である。一方、酵素阻害活性に関するinsilico評価系として、インスリン信号経路の負の調節因子として知られている、プロテインチロシンホスファターゼIBのCysl21残基をターゲットとした評価系を新たに確立した。この評価系を利用したin silicoスクリーニングにより、阻害活性の発現が期待される3種類のγ-ヒドロキシラクタムを分子設計した。今後はこれらの化合物の合成と評価を通じて、II型糖尿病の新規治療薬の開発について検討していく予定である。
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Research Products
(7 results)