2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590109
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
東山 公男 Hoshi University, 星薬科大学・薬学部, 教授 (70101582)
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Keywords | 肥満 / 糖尿病 / 血糖効果作用 / 抗酸化作用 |
Research Abstract |
本研究は、ビグアナイド系抗糖尿病薬のメトホルミンがAMPキナーゼの活性化にて末梢組織での糖利用を促進し血糖値を降下することに着目し、これに抗酸化作用を有する構造を組合せた化合物を合成することで、血管内皮細胞防御効果と共にAMPキナーゼ活性化作用に由来する血糖値降下作用を持ち合わせた新たな化合物の創製を目的としている。我々はこれまでに抗酸化作用を有する構造にトコフェロールをヒントに、クロマン骨格を選択し、これに炭素数2〜4個のメチレン鎖を隔ててビグアニジル基を導入した化合物の合成と血糖値降下作用の評価を行った。その結果、炭素鎖の短い化合物により強力な血糖降下作用が現れることを見出した。そこで20年度では、合成抗酸化剤として使用実績のあるブチルヒドロキシアニソール(BHA)を抗酸化作用を有する構造部分とし、これに炭素数2〜4個のメチレン鎖を隔ててビグアニジル基を導入した化合物の合成と血糖値降下作用の評価を行った。目的化合物の合成は、アリルエーテルのClaisen転移、Hydroboration、Gabriel合成を順次行い第一級アミンを得た後、ジシアンジアミドを反応させることで高収率に達成した。さらに得られた化合物は、糖を負荷したマウスによる血糖降下作用を評価したところ、前年度に得られたトコフェロールタイプの化合物と同様に、炭素鎖の短い化合物により強力な血糖降下作用が現れた。しかも、今回得られたBHAタイプの化合物は、これまでに得られたトコフェロールタイプの化合物よりも強力な血糖降下作用を有し、中でも炭素数2個のメチレン鎖を有する化合物は、メトホルミンを凌駕する極めて強力な作用を有していた。以上、これらの結果から今回見出した化合物は、新たな糖尿病治療薬のみならず、肥満改善薬に繋がるリード化合物になりうると考えられる。
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