2007 Fiscal Year Annual Research Report
四塩化炭素腹腔内投与によるインターロイキン-6誘導の機構とその肝障害発症への影響
Project/Area Number |
18590120
|
Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北條 博史 Showa Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (90004621)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 紋子 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (00384636)
|
Keywords | 肝障害 / 四塩化炭素 / インターロイキン6 / 中皮細胞 / 腹腔内細胞 / ヘムオキシゲナーゼ1 / サイトカイン / STAT3 |
Research Abstract |
四塩化炭素肝障害モデルは肝障害および肝再生機序の解析、あるいは抗肝炎薬のスクリーニングモデルとして汎用されている。筆者はこれまで、四塩化炭素をラットの腹腔内に投与すると速やかに高レベルのインターロイキン 6(IL-6)が誘導されること、またこれは炎症性因子の刺激を介して腹腔漿膜の中皮細胞により産生されることを報告した。本年度は四塩化炭素により誘導されるIL-6による細胞保護因子の発現誘導について検討した。IL-6誘導がみられる腹腔内投与とみられない経口投与の比較において、hemeoxygenase(HO)-1、熱ショックタンパク質(HSP)-72、HSP-92のうちHO-1のみが腹腔内投与で強く発現したことより、HO-1はIL-6を介して誘導されることが推測された。四塩化炭素投与前30分に抗IL-6抗体(200μg/kg)前処置して血漿IL-6レベルの上昇を84%抑制した場合、肝HO-1 mRNA、HO-1タンパク質発現はそれぞれ43%、40%抑制された。四塩化炭素投与によるHO-1発現は、四塩化炭素活性代謝物により変性した cytochrome-P450由来のヘムにより誘導されることも報告されていることから、四塩化炭素腹腔内投与動物ではIL-6とヘムの両者がHO-1を誘導すると考えられる。IL-6によるHO-1誘導に関与すると報告されている転写因子のsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)の活性化はIL-6レベルと四塩化炭素投与後の経時変化及び用量依存性に類似性を示した。以上の結果から、四塩化炭素腹腔内投与後に誘導されたIL-6はSTAT3活性化を介してHO-1を誘導するものと考えられる。これは肝障害発症に抑制的に働くことが示唆される。
|
Research Products
(2 results)