2007 Fiscal Year Annual Research Report
フタル酸エステル類のエストロゲン合成酵素発現に及ぼす影響とその作用機構解明
Project/Area Number |
18590121
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
中陳 静男 Hoshi University, 薬学部, 教授 (90101576)
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Keywords | 環境 / 遺伝子 / エストロゲン / フタル酸エステル / 酵素 |
Research Abstract |
前年度,フタル酸モノエチルヘキシル(MEHP)がエストロゲン合成酵素発現を抑制し,その発現抑制はプロモーターIIが関与する遺伝子転写レベルでの抑制的調節がなされていること,それにはNur77遺伝子(オーファンnuclear receptor NR4A family)が関与することが示唆され,今年度はさらにその詳細について検討した。 1)MEHPによるNur77遺伝子発現の誘導がプロモーター活性の増加を介している可能性を検討するため,Nur77遺伝子プロモーター領域(TR3遺伝子の5'側上流-2112bpから+89bp)を含むレポーターベクターを細胞に導入してMEHP曝露によるプロモーター活性への影響を検討した。Nur77遺伝子プロモーター活性は100μM MEHP曝露後1時間で,溶媒処理の場合と比べて3.2倍,25μM FSK処理後4時間で6.1倍の増加が見られた。さらにこのMEHPによって増加したプロモーター活性は,曝露後4時間でコントロールレベルまで低下した。これらのことから,MEHPによるNur77遺伝子プロモーター活性の増加は,短時間で一時的なものであることが示唆された。 2)Nur77遺伝子発現が誘導されることにより間接的にエストロゲン合成酵素の発現抑制が引き起こされることをさらに検討するため,Nur77発現ベクターをエストロゲン合成酵素プロモーターIIレポーターベクターと共にこの細胞に導入した.この結果,エストロゲン合成酵素プロモーターII活性は,25μM FSK処理により5.5倍まで誘導されるが,Nur77の細胞内強制発現により,プロモーターの転写活性化が細胞内に導入したNur77発現ベクター量依存的に抑制された。しかしNur77-ドミナントネガティブ体の細胞内強制発現では,エストロゲン合成酵素プロモーターIIの転写活性化は抑制されなかった。
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Research Products
(2 results)