2007 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱化学物質の作用における脂肪細胞のケトン体代謝調節に関する研究
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18590122
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
福井 哲也 Hoshi University, 薬学部, 教授 (90111971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正博 星葉学大学, 薬学部, 講師 (80328921)
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Keywords | ケトン体 / 脂肪細胞 / アセトアセチルCoA合成酵素 / テストステロン |
Research Abstract |
本年度はアセトアセチルCoA合成酵素(AACS)によるケトン体の利用調節と肥満との関係,および性ホルモンの影響を中心に検討を行った。まず,高脂肪食負荷に伴う肥満が脂肪組織においてAACSの発現に与える影響を検討したところ,本酵素及びレプチン遺伝子は皮下部脂肪組織で有意に発現上昇したが,腸間膜部では差が見られなかった。PAI-1は皮下部・腸間膜部共にその発現が上昇した。一方,ACC-1は皮下部脂肪組織では顕著な発現変動は示さなかったが,腸間膜部では大きく発現が減少していた。これらの結果より,高脂肪食負荷時には,脂肪酸合成系が腸間膜脂肪組織では抑制される一方で,皮下部脂肪組織では活性化すること,その際に本酵素によるケトン体からの脂肪酸合成活性化が寄与する可能性が示唆された。さらに申請者らはすでに,本酵素が脂肪組織において高発現すること,白色脂肪組織(WAT)においては発現に顕著な性差が存在することを明らかにしているので,WMTに見られる本酵素の性差の生理的意義を明らかにする為に,去勢とテストステロン投与の本酵素の遺伝子発現に与える影響を検討したところ,皮下部WATにおいてはAACSとACC-2の発現のみ顕著に減少し,これらの発現減少は去勢後に50mg/kg testosteroneを処置することで回復した。また,培養脂肪細胞を用いた検討では分化誘導後の細胞においてtestosteroneによるAACS発現上昇が起きた。以上の結果から,本酵素は雄の皮下部WATにおいて男性特異的因子の影響下にあることが明らかとなり,その制御経路は成熟脂肪細胞に対するtestosteroneによるAACS発現調節によるものと考えられた。従って,男性ホルモンはケトン体からの脂肪酸合成を活性化する作用を持つ可能性が考えられた。
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