2007 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチンによる血管平滑筋細胞プロテオグリカングリカン代謝の制御
Project/Area Number |
18590124
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
山本 千夏 Hokuriku University, 薬学部, 准教授 (70230571)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / プロテオグリカン / ホモシステイン / アディポネクチン / TNF-α / バーシカン / デコリン / 動脈硬化 |
Research Abstract |
昨年度,すでにアディポネクチンが血管平滑筋細胞のプロテオグリカン合成を調節することを明らかにしている。すなわち,アディポネクチンに曝露した血管平滑筋細胞ではデルマタン硫酸プロテオグリカンの小型分子種デコリンのコアタンパク質合成が誘導されており,そのデルマタン硫酸糖鎖の形成過程においてもグルクロン酸のイズロン酸へのエピマー化が阻害されることを見いだした。デコリンは抗動脈硬化作用を示すプロテオグリカンであることから,アディポネクチンの抗動脈硬化作用の一つにデコリン合成が含まれることが示唆された。 平成19年度は,動脈硬化症の危険因子として知られているホモシステインについて血管平滑筋細胞プロテオグリカン合成への作用を調べ,アディポネクチンの作用と比較した。その結果,ホモシステインがデルマタン硫酸プロテオグリカンの小型分子種ビグリカン/デコリン画分の合成を阻害すること,そのときにはデルマタン硫酸糖鎖の4-O-硫酸化が促進されることが分かった(Fujiwara, et. al., 2008)。 以上の結果は,これまで知られているコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの大型分子種バーシカンの合成調節だけでなく,ビグリカン/デコリンの合成調節が動脈硬化進展あるいは進展防御にきわめて重要であることを示唆している。アディポネクチンは,そのようなデルマタン硫酸プロテオグリカンの小型分子種の合成調節因子であることが示されたことに,本研究の大きな意義がある。
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