2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス防御酵素とアディポサイトカインとの協調的動脈硬化抑制作用発現調節機構
Project/Area Number |
18590146
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
足立 哲夫 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (40137063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30305495)
神谷 哲朗 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60453057)
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Keywords | スーパーオキシドジスムターゼ / アディポネクチン / 腫瘍壊死因子 / 脂肪細胞 / 酸化ストレス / 糖尿病 / メタボリックシンドローム / 動脈硬化 |
Research Abstract |
近年、メタボリックシンドローム・糖尿病患者(それらの予備軍を含む)が急速に増加している。これらの病態は動脈硬化性合併症の発症・進展を促進し、患者のQOLを著しく低下させるのみではなく、医療経済学的にも大きな負担を社会に強いることになる。本研究では、脂肪細胞を用いたin vitro培養細胞系を用い、肥満に起因する脂肪組織炎症性病態の発症・進展と酸化ストレス防御酵素やアディポサイトカインの発現変動との関係について検討した。 3T3-L1マウス前駆脂肪細胞において、EC-SOD(酸化ストレス防御酵素)やAPN(アディポネクチン:抗炎症性アディポサイトカイン)の発現は、アディポサイトカイン発現調節転写因子であるPPAR-γやC/EBP-αの発現と同様に、細胞の分化に伴って増加するものの、その後の肥大化の過程では減少した。一方、TNF-α(腫瘍壊死因子:向炎症性アディポサイトカイン)やMCP-1(マクロファージ遊走因子)の発現は脂肪細胞の肥大化に伴って急激に上昇した。この結果から、脂肪細胞でのEC-SOD発現は抗炎症性アディポサイトカインと共通の転写発現制御を受けている可能性が示唆された。 3T3-L1細胞とマクロファージの共培養を行ったところ、脂肪細胞におけるAPNの発現は低下し、TNF-αの発現は上昇した。この結果から、脂肪組織に浸潤し活性化されたマクロファージからの多量の活性酸素の放出や脂肪細胞でのTNF-αの発現の増大が脂肪組織の炎症性病態の悪化につながっていることが明らかになった。一方、マクロファージとの共培養により脂肪細胞でのEC-SOD発現は上昇したが、これは脂肪組織を酸化ストレスから防御するための反応であると推察された。
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Research Products
(12 results)