2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素ヒトCYP2E1選択的な蛍光基質の構築
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18590148
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐伯 憲一 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 講師 (60254306)
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Keywords | 蛍光プローブ / シトクロームP450 / 特異的基質 / ハロゲン置換 / 選択性 / 含窒素芳香族 |
Research Abstract |
18年度の研究において、クロロキノリン類(C1Qs)がCYP蛍光プローブとして有用なことを明らかにした。そこで本年度は、C1Qsのヒト肝マイクロソーム(HLM)による代謝におけるCYP分子種特異性について詳細な検討を行った。具体的には、CYP活性値に個体差の見られる8種類の個別HLMを用いて、各HLM中のCYP分子種活性値とC1Qの蛍光代謝物生成活性値との相関解析を行った。その結果、5,7-diC1QではHLM中のCYP2E1活性値のみと有意な相関が見られ(R^2=0.93)、検討した化合物の中で最も高い相関が見られた。一方で、5,8-diC1Qおよび6,8-diC1QはCYP3A4活性値に対してのみ有意な相関が見られた。 また、5,7-diC1QのHLM並びに発現系CYP2E1による代謝のEadie-Hofstee Plotは、直線型であり、5,7-diC1Qが単一な酵素(CYP2E1)によって代謝されることが確認された。一方、5,8-diC1Qと6,8-diC1QのHLM並びに発現系CYP3A4による代謝のEadie-Hofstee Plotは、"つ"の字型となり、CYP3A4においてよく知られているアロステリック的な挙動が見られた。これらの結果は、5,7-diC1QがHLMにおいて主にCYP2E1により代謝され、一方で5,8-diC1Qおよび6,8-diC1QがHLMにおいて、主にCYP3A4によって蛍光代謝物を生成することを強く示唆している。 このように同じジクロル置換キノリン誘導体であっでも、置換基の位置の違いによりCYP分子種特異性が変化することが明らかになった。これらの結果は、ヒトCYP2E1の蛍光検出可能な選択的基質の確立のみならず、詳細な基質認識機構の解明や、選択的阻害剤の開発などにも応用可能であると考えられる。
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