2007 Fiscal Year Annual Research Report
HCT-15細胞モデルにおけるグリセロールトランスポーターの分子的実体と輸送機能
Project/Area Number |
18590149
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
湯浅 博昭 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 教授 (20191471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 弥生 金城学院大学, 薬学部, 教授 (00117847)
井上 勝央 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50315892)
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Keywords | グリセロール / 担体輸送 / トランスポーター / ナトリウム依存性 / HCT-15細胞 / 競合阻害 / モノアセチン / ジグリセロール |
Research Abstract |
glycerolトランスポーター群の機能解明の手がかりを得る目的で,HCT-15細胞におけるNa^+依存性トランスポーターによるglycerol取り込みに対するglycerol誘導体等の類似構造物質の阻害活性の解析を試みた.その結果,glycerolの酢酸及び酪酸エステルであるmonoacetin及びmonobutyrinが強い阻害活性を有することが見出された.また,エーテル型のglycerol誘導体であるdiglycerolも,やや弱いながら阻害活性を示した.1,2-propanediol(プロピレングリコール)は,前記のエステル及びエーテル型誘導体よりも阻害剤としての活性は弱かったが,R体及びS体の鏡像異性体間で著しい阻害活性の差異が認められた(R体<S体).これは,担体介在性輸送に特徴的な性質であり,glycerolトランスポーター(特異的輸送タンパク質)の存在を裏付ける証拠の一つとして重要な知見である.さらに,以上の物質による阻害は競合的であり,それらが本トランスポーターの基質となる可能性が示唆された.また,本トランスポーターによる基質認識に関しては,glycerolの炭化水素骨格の1位及び2位の水酸基の存在が重要である一方,3位の水酸基のエステル及びエーテル誘導体化は認識性に大きく影響しないことが示唆された.したがって,薬物をその種のglycerolエステルあるいはエーテル誘導体とすることにより,本トランスポーターを利用したドラッグデリバリーも期待できると考えられる.本トランスポーターのクローニングはやや難航気味であるが,継続的な取り組みによるクローニングの実現に加え,その生体内での分布及び生理的役割の解明が望まれる.
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