2006 Fiscal Year Annual Research Report
メカニズムに基づいたPK-PD解析モデルによる医薬品の最適投与設計
Project/Area Number |
18590159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
掛見 正郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00019134)
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Keywords | 時間薬理学 / 日内変動 / 糖尿病 / 生体恒常系 / GKラット / PK-PD |
Research Abstract |
本研究は生体恒常系のフィードバック調節系に着目し、投与された薬物の生体内動態(pharmacokinetics : PK)と、薬理効果(pharmacodynamics : PD)との関係を、概日変動(circadian rhythm)を含めた「メカニズムに基づいたPK-PD解析(mechanism-based PK-PD analysis)」を行うことで定量化し、これを使用して新しい投与計画設定法の確立を目指すものである。本年度は血糖恒常系について糖尿病態ラット(GKラット)を用い、先ず血糖値のcircadian rhythmを測定するとともに、sulfonylurea系糖尿病治療薬tolbutamide(TB)を投与して、その時間薬理学的、時間薬物動態学的検討を、正常ラットとの比較で行った。実験は、8〜12週齢のGKラットを6時点灯、18時消灯の明暗サイクルで1週間予備飼育した後、絶食状態で2時間毎24時間に亘って採血し、血糖値のcircadian rhythmを測定した。これらをコサイナーモデルで解析した結果、リズム平均(Mesor)=119mg/dL、振幅(Amplitude)=6.91mg/dL、頂点位相(Acrophase)=18時30分となり、先に私たちが報告した正常ラットに比べ、頂点位相が約3時間後方にずれていることが判った。血糖リズムの最高値を示す22時と最小値を示す10時にそれぞれ耐糖能試験(GTT)を行ったところ、10時のGTTの方が血糖減少速度が緩やかで、体内インスリン分泌能あるいはインスリン感受性に時刻差があることが示唆された。そこで、同時刻にインスリン感受性試験(ITT)を行ったところ、22時の方がやや血糖降下効果が大きいものの、インスリンの感受性自身には殆ど時刻差はないことが判った。GKラットは元々肝からの糖放出が亢進して高血糖を示すが、肥満は呈さない特徴を持っている。本年度はGKラットの血糖恒常系に関する基礎データ集積については、ほぼ目標通りの成果を得た。現在sulfonylurea系糖尿病治療薬tolbutamide(TB)を投与して、その時間薬理学的、時間薬物動態学的検討を始めている。
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