2008 Fiscal Year Annual Research Report
正常口蓋形成機構および口蓋裂発症機序を解明するための口蓋発生研究のシステム開発
Project/Area Number |
18590166
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 Asahi University, 歯学部, 講師 (90263095)
|
Keywords | 口蓋 / 口蓋裂 / 上皮-間葉形質転換 / in vitro 解析システム |
Research Abstract |
平成21年度は、当該研究課題によって前年度までに開発に成功した3種の新規in vitro解析システムを用いて、口蓋突起内側縁上皮細胞(MEE細胞)の最終分化能力のマウス系統差およびマウス・ラット間の種差等を実際に調査した。129/Sv, C57BL/6J, FVB/N, SJL/J, ICRのマウス5系統について、野生型胎児の口蓋突起を当該新規in vitro解析システムで培養した後、組織学的解析を行った。その結果、すべてのマウスおよびラット系統でMEE細胞は最終分化を起こすことが確認されたが、マウスでは、その系統によって上皮-間葉形質転換(EMT)を起こす能力に著しい差異があることが判明した。この野生型マウス胎児EMT能力のマウス系統差は、TGFβ3遺伝子欠損マウスの口蓋裂表現型のマウス系統差と密接な相関関係があることが認められた。したがって、TGFβ3遺伝子欠損マウスで観察される口蓋裂表現型のマウス系統差は、その遺伝学的背景となる野生型マウス系統に依存したMEE細胞のEMT能力の差異が反映されたものであることが強く示唆された。そこで調査したマウス系統のうち、最もMEE細胞のEMT能力が高いICR系統と、最もその能力が低いC57BL/6J系統のTGFβ3遺伝子欠損マウス胎児のMEE細胞のEMT能力を当該新規in vitro解析システムで解析した結果、同じTGFβ3遺伝子を欠損していても、C57BL/6J系統マウスMEE細胞のEMT能力は完全に消失しているが、ICR系統マウスMEE細胞のEMT能力は部位特異的に保持されていることが証明された。以上の当該研究結果により、当該研究で開発した新規in vitro解析システムは、これまで効果的な解析手法が存在しなかったMEE細胞のEMT能力を明確に診断できる新手法として、その有用性がきわめて高いことが確認された。
|
Research Products
(3 results)