2006 Fiscal Year Annual Research Report
心臓発生過程でおこる心内膜床形成でのwntと骨形成因子(BMP)の協調作用機構
Project/Area Number |
18590173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60255122)
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Keywords | 心臓 / 心内膜床 / wnt / BMP |
Research Abstract |
心内膜床は房室管および流出路に形成され、将来の中隔や弁を形成する原基である。心内膜床の形成機構の解明は、先天性心奇形や心臓の形態形成機構を知るうえで重要な手がかりになる。申請者は、心筋細胞から分泌される骨形成因子(Bone morphogenetic protein : BMP)が、心内皮細胞に存在するTGF-β2,3と協調的に作用し心内皮細胞の形質転換を誘導すること、また心筋細胞からはBMPとともに作用する未知の液性因子が分泌されることを明らかにした。そこでこの未知の液性因子としてwntに注目し、ニワトリ胚心臓からのクローニングを行った。これまでに8種類のwnt遺伝子の全長クローニングを行い、塩基配列を決定した。得られたwnt遺伝子の心臓発生過程での発現をin situハイプリダイゼーション法で調べてみたところ、wnt6遺伝子は心内膜床が形成される流出路と房室管領域の心筋細胞に強く発現することが明らかになった。そこでwnt6遺伝子の機能を調べるため、発現ベクターに組み込み、器官培養系を用いて心内皮細胞への遺伝子導入を計画した。遺伝子導入効率を上げるため、これまでに確立したカチオン性脂質試薬による遺伝子導入法の改良を行ない、導入効率をあげることに成功した。この方法を用いて、遺伝子導入を次のように行った。心内膜床領域を微小外科手術により切り出し、コラーゲンゲル上で培養し、培養後すぐに心筋だけを取り去り心内皮細胞だけを準備した。この心内皮細胞にwnt6遺伝子を導入し、BMPを添加して48時間培養した。しかしながら、wnt6遺伝子は心内皮細胞の形質転換活性を誘導しなかった。
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