2008 Fiscal Year Annual Research Report
心臓発生過程でおこる心内膜床形成でのwntと骨形成因子(BMP)の協調作用機構
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18590173
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (60255122)
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Keywords | 心臓発生 / 心内膜床 / wnt |
Research Abstract |
心内膜床は初期胚心臓の房室管および流出路に形成され、完成された心臓の中隔や弁の原基となる。心内膜床の形成機構の解明は、先天性心奇形や心臓の形態形成機構を知るうえで重要な手がかりになる。申請者は、心筋細胞から分泌される骨形成因子(Bone morpliogenetic protein: BMP)が、心内皮細胞に存在するTGF-β2,3と協調的に作用し心内皮細胞の形質転換を誘導すること、また心筋細胞からはBMPとともに作用する未知の液性因子が分泌されることを明らかにした。そこでこの未知の液性因子としてwntに注目し、ニワトリ胚心臓からのクローニングを行った。本年度はBMPとwntの下流で働く遺伝子の探索をマイクロアレイ法により網羅的におこなった。その結果、転写因子、接着分子、細胞骨格の調節因子が候補として得られた。この中で転写因子のsox9に注目し、その発現を解析した。soxはsry(sex-determining region Y)で見つかったDNA結合領域(HMG-box)配列をもつ転写因子群である。これまでにsox9の遺伝子欠損マウスでは弁の形成阻害が報告されていた。そこでニワトリ胚よりsox9遺伝子をクローニングし、心臓発生過程でのsox9の発現をin situハィブリダイゼーション法を使い解析した。その結果、ステージ16の時期に心内皮細胞に発現し、心内皮細胞の形質転換により形成された間葉細胞にも発現した。sox9の発現はステージ23まで強くなり、その後次第に弱くなった。この結果はsox9が心内膜床形成でおこる上皮一間葉形質転換に関与している可能性を強く示唆した。
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Research Products
(1 results)