2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 秋一 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60282232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 豊士 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50115929)
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Keywords | 細胞膜 / 脂質 / ラフト / 糖脂質 / コレステロール / ミクロドメイン / 空間統計 / 情報伝達 |
Research Abstract |
人工脂質膜を用いた実験により,細胞膜上にはスフィンゴ脂質やコレステロールが豊富なラフトと呼ばれるミクロドメインが想定されているが,生細胞の細胞膜上で実際に存在するかはわかっていない.本研究では急速凍結およびSDS処理凍結割断レプリカ標識(SDS-FRL)法を用いることによって,細胞膜内分子をレプリカ膜(以下,薄膜)で物理的に固定し,生きた細胞の状態を保持した標本を用いることにより,超微細レベルでのラフトの可視化を試みた.ラフトの主要構成分子であるGMIの1次抗体と金コロイド標識2次抗体でマウス緯線芽細胞より作成した細胞膜外葉の薄膜を標識すると,細胞膜平面上に金コロイドの黒い点の分布が観察された.この分布パターンをRipleyのK関数で解析した場合,細胞膜のほぼ全域がクラスター分布を示し,平均直径96nmのクラスターを形成していることがわかった.このクラスターサイズには抗体と金コロイドのサイズが加味されていると考えられ,モデル実験により測定した抗体アーム長と金コロイドのサイズから,最短の直径は約60nmであると考えられる.またタフト構造の維持に重要なコレステロールを除去した細胞由来の薄膜ではGM1の分布パターンはランダム分布が細胞膜全体の約30%にまで増加していた.さらに1次抗体に一ヵ所にしか結合しない金コロイド標識protein Aを2次抗体として用いた場合でも全く同様の結果を得た.このことは,観察されるクラスターは1個の1次抗体'に複数個の2次抗体が結合したことによるアーティファクトでないことを示している.ラフトの主要構成分子であるGM3もコレステロール依存性のクラスターを形成しており,ほとんどの場合GMIとは別のクラスターを形成していることもわかった.これらのことからGM1およびGM3が形成するクラスターはラフトそのものである可能性が考えられた.
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