2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590184
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 秋一 Nagoya University, 大学院・医学研究科, 准教授 (60282232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 豊士 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50115929)
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Keywords | 細胞膜 / 脂質 / ラフト / 糖脂質 / コレステロール / ミクロドメイン / 空間統計 / 情報伝達 |
Research Abstract |
生きた細胞の細胞膜上ではスフィンゴ脂質やコレステロールが豊富なラフトと呼ばれるミクロドメインが想定されているが,実際に存在するかはわかっておらず,申請者らは電顕を用いて直接ラフトを観察することを試みた.しかし従来の化学固定法では脂質を固定することはできず,本研究では急速凍結およびSDS処理凍結割断レプリカ標識(SDS-FRL)法を用いた.このSDS-FRL法では細胞膜内分子をレプリカ膜(以下,薄膜)で物理的に固定することができるので,生きた細胞の状態を保持したまま超微細レベルでの脂質の可視化が期待できる.そこで申請者らは,この白金・カーボン薄膜によってできた脂質レプリカ膜ではSDS処置後でも元の脂質の約80%が保持されていることを明らかにし,SDS-FRL法が細胞膜での脂質分布を検索するのに有効な手段であることを証明した(Histochem.Cell Bion.128,385,2007).平成18年度における研究によって,ラフトの主要構成分子であるGM1が平均直径96nmのクラスターを形成していることがわかった.またラフト構造の維持に重要なコレステロールを除去した細胞由来の薄膜ではGM1の分布パターンはランダム分布が細胞膜全体の約30%にまで増加していた.また,ラフトの主要構成分子であるGM3もコレステロール依存性のクラスターを形成しており,ほとんどの場合GM1とは別のクラスターを形成していることもわかった.平成19年度では,このアクチン線維の脱重合薬であるLatruculin Aを処置することにより,GM1とGM3が別々のクラスターではなく,共通のドメインを形成するようになることがわかった.
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