2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590191
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
片岡 洋祐 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (40291033)
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Keywords | 大脳皮質 / サテライト細胞 / Perineuronal germinal cell / 脱分極波 / Spreading depression / 増殖 / 分化 |
Research Abstract |
成獣ラット脳内において、大脳皮質ニューロンの細胞体に密着し、近傍ニューロンの神経活動によって活発に分裂・増殖する細胞群(Perineuronal germinal cell)が存在する。平成18年度は、選択的に大脳皮質ニューロンを脱落させたラット実験モデルにおいて、本細胞が分裂・増殖し、幼弱ニューロソやグリア細胞へ分化することを示した。平成19年度はラット大脳皮質への脱分極波(Spreading depression)誘発刺激実験をおこなって本細胞の分裂増殖位相をそろえ、増殖・分化誘導に関わる分子基盤について解析をおこなった。特に脱分極波は片側大脳皮質のみに発生させることができ、本細胞は発生側のみで増殖を開始する。また、その増殖活性は脱分極波の発生回数に依存する。そこで、脱分極波発生後、対側皮質をコントロールとして両側皮質がら組織を採取し、誘導遺伝子群の差異を検索することで、刺激側のみで発現が促進される複数の分子群を発見した。そうした分子群のうち、Perineuronal germinal cellの増殖および分化誘導に関わる可能性のある候補分子を見出すため、それらの分子の受容体がPerineuronal germinal cellに発現しているかを組織化学的手法にて検討した。結果、数種類の増殖・分化関連因子と細胞内シグナル伝達分子が見つかった。 Perineuronal germinalcellは、加齢に伴う脳萎縮や認知症の発症と深く関係していることが予想され、本細胞の性質を解明することや、増殖・分化を支える分子基盤を明らかにすること、高齢化がすすむわが国において、脳疾患の予防・治療医学に新しい概念をもたらすものと期待される。
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Research Products
(26 results)