2006 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計の中枢における二振動体の光入力制御機構の形態学的解明
Project/Area Number |
18590198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重吉 康史 近畿大学, 医学部, 教授 (20275192)
藤岡 厚子 近畿大学, 医学部, 助教授 (30077664)
早坂 直人 近畿大学, 医学部, 講師 (80368290)
足立 明人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (20351588)
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Keywords | 光同調 / 視交叉上核 / 体内時計 / Prokineticin2 / Prokineticin recepter2 / Per1 / Per2 |
Research Abstract |
夜間の光照射により、体内時計の中枢である視交叉上核にPer1,Per2遺伝子が誘導され、位相変位が生じることから、これらの時計遺伝子が光同調などに関与すると考えられている。そこで、ラットを用いて体内時計の光による同調の時期について検討し、ラットは明期と暗期の移行時期の光刺激が同調機構に重要な関係があることを明らかにした。さらに、体内時計を前進させて同調させなければならない条件では、明期のはじめにPer1が腹外側部に強く発現し、後退させなけらばならない条件では明期の終わりでPer2が腹外側部に強く発現していた。このことから、主観的夜の終わりに特に、Per1に依存した、主観的夜の始まりにPer2に依存した位相変位が生じる概日時計の位相があることが明らかとなった。 次に、Prokineticin2(PK2)は、視交叉上核に特異的に発現し、強い日周変動を示し、脳室内投与にて行動を抑制することが知られている。そこで、PK2の視交叉上核における役割を明らかにするため、PK2とProkineticin receptor 2(PKR2)のラット視交叉上核での局在を調べた。rPK2 mRNAは主観的昼にピークを持つ明瞭なサーカディアン振動を示し、ピークにおいて視交叉上核の背内側部と腹外側部に点在していた。一方、rPKR2 mRNAは日周変動を示さず、背内側部の小領域にのみ、陽性細胞が密に存在していた。また、この小領域ではAVP,VIP,GRPおよびPK2を発現していなかった。そして、背外側部は、発現が概日振動を示すPer1遺伝子が遅れて発現することから、視交叉上核内部における位相差にPK2-PKR2の相互作用が何らかの役割を持つことを示唆する。さらに、PKR2遺伝子KO mouseでは、活動のリズムは残るものの変動が小さいこと、総活動量が減ること、夜の終わりに活動が上昇することなどが明らかとなった。
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