Research Abstract |
交感神経系のトーヌスが低下しているモデル動物であるカルシウムβ3サブユニット欠損マウスの解析を行った.副腎髄質のカテコラミン産生細胞における総電流量が低下していること,電流量の低下はL,N型チャネル電流量,およびチャネル数の低下によることを発表した.電流量が低下しているにもかかわらず,同欠損マウスにおける血中カテコラミン濃度に異常がないこと,さらに副腎髄質におけるカテコラミン放出量が保たれていることを示した.この代償機構のメカニズムとして,副腎におけるIP3産生量が増加していることが,関与すると思われた(Ohta et al., B.B.R.C., 2010, in press). さらに,細胞内カルシウムのセンサーであるSTIM1に関する研究を展開した.ラット初代心筋培養細胞を用い,Endothelin-1(ET-1)による肥大刺激を48時間行った.SOCE,TRPC1の発現量,細胞表面積,nuclear factor of activated T cells activation(NFAT)の増加を認めたが,STIM1の発現量に明らかな変化を認めなかった.siRNA法によるSTIM1ノックダウンを行った細胞では,これらの反応は抑制されており,STIM1ノックダウンによる心肥大抑制が示唆された.つまり,siRNA法によるSTIM1ノックダウンは,心肥大刺激による細胞肥大を防ぐことを発見した.(Ohba et al., B.B.R.C., 2009)
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