2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアと滑面小胞体の連携による細胞膜でのカルシウム流入の二面性制御
Project/Area Number |
18590211
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
久場 健司 Nagoya University of Arts and Sciences, 管理栄養学部, 教授 (60080561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久場 雅子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (90351212)
日暮 陽子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 助教 (30325633)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / ミトコンドリア / 滑面小胞体 / Ca^<2+>遊離 / 容量性Ca^<2+>流入 / β_3受容体 / α1受容体 / エネルギーバランス |
Research Abstract |
褐色脂肪組織は齧歯類や発育期の人の熱産生器官であり、エネルギー消費器官としてもエネルギーバランスの調節に重要な役割を果たしている。褐色脂肪細胞では、交感神経活動によるβ_3受容体の活性化を介して、中性脂質分解によるミトコンドリア内膜のH+電気化学勾配の増加と脱共役タンパク質(UCP)の活性化により熱産生をする。この過程は、α_1受容体の活性化によるノシトール3燐酸により誘起されるCa^<2+>の遊離と容量性Ca^<2+>流入(SOC)を介する細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)により促進される。 本研究では、UCPの活性化によるミトコンドリアからのCa^<2+>の遊離が滑面小胞体からのCa^<2+>遊離とSOCの活性化を明らかにし、更にUCPの活性化による細胞膜での新しいCa^<2+>流入機構を発見した。脱共役剤(FCCP等)の作用やβ活性剤によるUCPの活性化によるミトコンドリアの膜電位の減少の結果、Ca^<2+>遊離が起こり、遊離されたCa^<2+>は局所のフォスフォリパーゼCを活性化し、ERからのCa^<2+>遊離とそれに続くSOCを活性化する(図3)。一方、ERからのCa^<2+>遊離はミトコンドリアからのCa^<2+>遊離またはCa^<2+>蓄積を起こす。また、ミトコンドリアの膜電位の減少は細胞膜のSOCとは異なるCa^<2+>流入経路を活性化する。これらの新しいCa^<2+>機序は、Ca^<2+>依存性脱水素酵素の活性化を介するTCAサイクルの促進に寄与し、ノルアドレナリンやその他のホルモンによるエネルギーバランスの精細な調節に寄与すると考えられる。さらに、この機序は、UCPを有する骨格筋等の細胞にも共通するエネルギー収支調節の一般的な機序の可能性があり、また、この異常は肥満発症の原因となる可能性もある。
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[Journal Article] Overexpression of human CD38/ADP-ribosyl cyclase enhances acetylcholine-induced Ca^<2+> signalling in rodent NG108-15 neuro blastoma cells2007
Author(s)
Higashida, H., Bowden, S. E. H., Yokoyama, S. Salmina, A., Hashii, M., Hoshi, N., Zhang, J.-S., Knyjnik, R., Noda, M., Zhong, Z. G., Jin, D., Higashida, K., Takeda, H., Akita, T., Kuba, K., Yamagishi, S., Shimizu, N. Takasawa, S., Okamoto, H. and Robbins, J.
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Journal Title
Neurosci Res. 57
Pages: 339-346
Peer Reviewed
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