2006 Fiscal Year Annual Research Report
前脳のADH分泌制御機構における興奮性・抑制性アミノ酸伝達物質の機能的連関の解明
Project/Area Number |
18590217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山口 賢一 新潟大学, 医歯学系, 助手 (50108023)
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Keywords | 第三脳室前腹側部 / ADH / グルタミン酸 / GABA / 血圧 / 血漿浸透圧 / 血糖 / 出血 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第三脳室腹側前部(AV3V)に分布するγアミノ酪酸(GABA)一受容体(-Rs)が、様々な生理的状態で、ADH分泌や心血管系などの自律機能調節に果たす役割を明らかにし、当該領域のGABA-Rsの働きとグルタミン酸(Glu)-Rsの働きの間には、ADH分泌調節に際して機能的連関のあることを実証することである。研究は本年度の交付申請書の記載通りに行われ、次の結果を得た。(1)AV3VにGluのnon-MNDA-Rs作動薬、FWDを投与すると、血漿ADH、浸透圧、グルコースが用量依存性に増加した。血圧も著しく上昇したが、心拍数は変わらなかった。FWD投与10分前にRs拮抗薬NBQXを注入すると、それら因子の反応は全て抑制された。(2)高張食塩水を静脈注入すると、血漿浸透圧、Na^+、Cl^-濃度が上昇し、これと平行して血漿ADHが増大した。高張食塩水注入開始前にNBQXをAV3Vに与えると、浸透圧や電解質の反応は変わらないものの、ADH反応は完全に消失した。(3)大腿動脈から全血液量の約28%を除去すると、血圧が下降し、血漿ADH、浸透圧、グルコース、AngiotensinIIが増大した。出血操作の前にNBQXをAV3Vに投与すると、ADH反応は著しく減衰したが、他の因子の反応は影響されなかった。(4)GABA (A)-Rs拮抗薬、Bicuculline (Bic)をAV3Vに注入すると、血漿ADH、浸透圧、グルコース、血圧が著しく増大した。GABA (B)-Rs拮抗薬phaclofenの投与は全因子に影響しなかった。Bicで生じた反応は全て、GABA (A)-Rs作動薬、muscimolを前投与することによって抑制された。NBQXの前投与もADH反応を抑えたが、血圧反応などは変わらなかった。以上の結果は、(1)AV3VのGlu-Rsが、浸透圧並びに容量刺激ADH分泌を媒介すること、(2)AV3VのGABA神経は基礎状態においてADH分泌を緊張的に抑えており、その働きが妨げられると、Glu神経によるADH分泌昂進を招くことを示唆する。
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