2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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Keywords | ストレス / 摂食 / 視床下部 / ノルアドレナリン / PrRP / 満腹 / 延髄 / 孤束路核 |
Research Abstract |
摂食すると、満腹になり摂食が終了するとともに、不安行動が減少する。本研究の目的は、「摂食すると、プロラクチン放出因子(PrRP)が脳内で放出され、摂食を生理的に終了させると同時に、不安を減弱させている」という仮説を証明することである。本年度はまず、PrRPが脳内において生理的に摂食を終了させる満腹シグナルとして働いているという仮説を検証する実験を行った。この目的のために、まず、摂食に伴いPrRPニューロンが活性化されるかを検証し、次に、PrRPの中和抗体を用いて内因性のPrRPを機能阻害した時の摂食パターンの詳細な解析、摂食時のPrRPニューロンの活動をモニターする実験を行った。 PrRPニューロンが摂食により活性化されるかをFos蛋白質発現あるいはpCREBの発現を観察した。動物はラットを用いた。摂食に伴い、延髄孤束路核のPrRPニューロンが活性化することが明らかになった。次に、摂食時に活性化されるPrRPニューロンの生理的働きを検討する目的で、摂食時にPrRP中和抗体を投与し内因性のPrRP機能を阻害した時の摂食に対する影響を検討した。PrRPに対する中和抗体を投与しておいた動物において、摂食パターンを1分間隔で24時間連続自動記録し一回摂食量と摂食頻度を計測した。PrRP中和抗体を投与すると、総摂食量が増加した。総摂食量は一回摂食量と摂食頻度の掛け算で表わされる。中和抗体を投与すると、一回摂食量が有意に増えたが、摂食頻度は有意には変化しなかった。この摂食により延髄孤束路核のPrRPニューロンが活性化され、内因性のPrRPを阻害すると一回摂食量が増加するという今回のデータは、延髄孤束路核ニューロンが産生するPrRPが摂食終了シグナル、即ち、満腹シグナルとして重要であるという仮説を支持している。
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