2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590225
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
近藤 保彦 Nippon Medical School, 医学部, 講師 (00192584)
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Keywords | 性指向性 / 嗅覚選好性 / 性行動 / 鋤鼻器 / 嗅上皮 / 視床下部 / 性ホルモン / ラット |
Research Abstract |
性的に成熟した雄ラットは、雄ラットおよび発情雌ラットの匂いを同時に提示すると発情雌臭に強い選好性を示す。また、正常雄ラットと去勢雄ラットの匂いでは、去勢雄ラットの匂いに対して選好性を示す。このパターンは雌が持つ正常雄に対する選好性とまったく反対であり、性指向性に依存している。ラットの化学感覚刺激の受容は、鼻腔内にある嗅上皮と鋤鼻器という2つの器官が司っており、前者は主に一般的な嗅覚を、後者は社会的なシグナルであるフェロモンを受容していると考えられている。しかし、鋤鼻器を外科的に摘除した動物でこの行動をテストしても選好性にはほとんど影響を及ぼさないのに対して、嗅上皮を硫酸亜鉛を鼻腔灌流して破壊してしまうと選好性が消失することから、この匂いの選好性は嗅上皮を介して入力されるシグナルに依存していることがわかった。また、この雄ラットが示す選好性は、視索前野の破壊によっても消失することから、嗅球から扁桃体を介して視索前野に入力されていると考えられる。ところが扁桃体内側核の破壊は、この選好性に影響しない。したがって、このシグナル経路として扁桃体内側核を通らない経路があるのかもしれない。現在、雄ラットに発情雌の匂い刺激を提示して、脳内のcFos発現を観察している。発情雌臭によって脳のどの部位が活性化されるかがわかれば、その処理経路も明らかになっていくものと思われる。
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Research Products
(10 results)