2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経型ニコチン受容体の新しい機能調節機構の解析と精神神経疾患の新規治療法への展開
Project/Area Number |
18590234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
松林 弘明 広島工業大学, 情報学部, 教授 (60165850)
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Keywords | ニコチン受容体 / ミクログリア / 細胞内カルシウム / イオンチャネル / PKC |
Research Abstract |
神経細胞に発現している神経型ニコチン受容体は、イオンチャンネル一体型受容体である。ところが、中枢神経系の非神経細胞であるミクログリアにもニコチン受容体の存在が明らかになった。非神経細胞に発現するニコチン受容体について、従来の神経型ニコチン受容体との相違を明らかにするため生化学的および電気生理学的研究を行った。 ATPと、lipopolysaccharide(LPS)は、ともにミクログリアからtumor necrosis factor(TNF)を遊離する。これら2種類の刺激に対して、ニコチンは、α7型ニコチン受容体を介してATP誘発TNF遊離を増強する一方で、LPS誘発TNF遊離を抑制した。TNF遊離に関するニコチンのこの相反する作用には、共通してミクログリア細胞内の一過性カルシウム増加が関与しており、その作用はα7型ニコチン受容体拮抗薬で遮断された。ところが、このカルシウム増加はイオンチャンネルを介する細胞外からのものでなく、ニコチンがPLCを活性化し、IP3を介しての細胞内貯蔵カルシウムからの放出であった。 もう一方の神経型ニコチン受容体であるα4β2受容体をヒト腎由来HEK293細胞に安定化発現させると、ニコチンの繰り返し投与により誘発電流は減弱した。しかしPKC活性化薬であるTPA処置により、ニコチンの繰り返し投与による不活性化が抑制された。α4サブユニットのPKC特異的リン酸化部位である2つのセリン残基をアラニンに変異させることにより、TPAの効果は観察できなくなった。このことからTPAによる効果は、α4サブユニットにおける両セリン残基のリン酸化が重要な役割を演じていると考えられる。 このように神経細胞と非神経細胞でのニコチン受容体機能の相違が明らかとなった。さらにこの相違を遺伝子レベルでも明らかにするため、分子生物学的手法を用いて検討を進めている。
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Research Products
(1 results)