2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経型ニコチン受容体の新しい機能調節機構の解析と精神神経疾患の新規治療法への展開
Project/Area Number |
18590234
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
松林 弘明 Hiroshima Institute of Technology, 情報学部, 教授 (60165850)
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Keywords | ニコチン受容体 / ミクログリア / PLC活性化 / イオンチャネル / RT-PCR |
Research Abstract |
神経細胞に発現している神経型ニコチン受容体(nAChR)は、イオンチャンネルー体型受容体である。ところが、中枢神経系の非神経細胞であるミクログリアにもnAChRの存在が明らかになった。非神経細胞に発現するnAChRについて、従来の神経型nAChRとの相違を明らかにするため生化学的および電気生理学的研究を行った。 パッチクランプ法により神経細胞にニコチンを投与するとイオンチャンネル一体型nAChRを介して内向き電流を記録できる。一方、ミクログリアにはニコチンを投与しても内向き電流は観察できなかった。しかし、RT-PCR法を用いてミクログリアのα7nAChRのcDNA配列を調べたところ、従来から知られている神経型α7nAChRの配列とほぼ完全に一致した。また細胞表面にも神経型α7nAChRの蛋白質発現を確認した。 さらにATPと、lipopolysaccharide(LPS)は、ともにミクログリアからtumor necrosis factor(TNF)を遊離するが、これら2種類の刺激に対してニコチンは、α7nAChRを介してATP誘発TNF遊離を増強する一方で、LPS誘発TNF遊離を抑制した。TNF遊離に関するニコチンのこの相反する作用は、ともにPLC活性化が関与しているが、イオンチャネル活性化とは無関係であった。すなわち、ATP誘発TNF遊離の増強は、ニコチンによるPLC活性化後、IP3を介する細胞内貯蔵カルシウムの一過性増加が関与していた。一方、LPS誘発TNF遊離の抑制は、ニコチンによるPLC活性化後、JNK/p38活性を抑制することが関与していた。 このように神経細胞と非神経細胞でのnAChR機能の相違が明らかとなった。同一配列のmRNAと蛋白質が発現しているのも関わらず、発現細胞により機能がなぜ異なるのかは今後の課題である。
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Research Products
(1 results)