2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経機能障害をもたらすAMPA受容体サブユニットタンパク異常の検討
Project/Area Number |
18590239
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 岳之 Keio University, 薬学部, 准教授 (90187740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郭 伸 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40160981)
飯島 史朗 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30222798)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / グルタミン酸 / AMPA受容体 / ADAR2 / RNA編集 / ノックアウトマウス / タモキシフェン |
Research Abstract |
本年度は研究計画に基づき、グルタミン酸AMPA受容体に対してRNA編集を行うADAR2という酵素に着目し、この酵素の条件的ノックアウトマウスを作成した。筋萎縮性側索硬化症の発症が恒例において発症例が多いことから、ADAR2の活性変動に関して成長が因子として関与していることが考えられ、任意の時点でADAR2をノックアウトできるマウスの作成を試みた。その結果、本研究によりタモキシフェン投与により任意の時点で全身的にADAR2のノックアウトが生じるようなマウスを世界で始めて作成した。 この動物を用いてノックアウトに必要な条件の設定をまず行った。 さらに、ノックアウトをさまざまな週齢で生じさせ、その後の運動機能の低下、脳・脊髄におけるADAR2タンパク質の変動やAMPA受容体のRNA編集率の変動を解析した。 その結果、異なる週齢のマウスにタモキシフェンを投与することにより、任意の時点でADAR2の活性低下をもたらすことが出来る系を確立した。 これは、ADAR2タンパク質の量的低下だけではなく、実際にAMPA受容体サブユニットのRNA編集率の低下や、マウスの運動障害の発現など機能的にもADAR2機能低下を表現系として提示する新たな病態モデルであるといえる。 さらに、マウス秋冷によりADAR2ノックアウトによる影響が異なることから、成長、あるいは老化による、ADAR2による生理機能調節が変化している可能性を始めて実験的に示すことが出来た。 本研究の成果は筋萎縮性側索硬化症の発症機序の解明や、治療薬のスクリーニングなどの伸展に大きく寄与できるものと考えている。
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Research Products
(3 results)