Research Abstract |
1.抗原暴露後に気管支平滑筋において活性化される転写因子を網羅的に把握するため,最終抗原チャレンジ後に,麻酔下,主気管支および肺内気管支を摘出し,組織より核タンパク質を抽出した。この核抽出液を用いて,抗原暴露後に活性化される転写因子をprotein/DNA arrayを用いて検討した。最終チャレンジ0.5,1,2,4時間後において,normal群と比較して様々な転写因子が活性化されていることがわかった。これらの活性化された転写因子のうち,4カ所あることをっきとめたRhoAプロモーター領域の配列と結合する可能性がある転写として,USF-1,Sp1,NF-E1,STAT5,STAT6があることがわかった。2.気管支平滑筋の収縮には単量体Gタンパク質であるRhoAが重要に関与していることをすでに報告しているが,アレルギー性気管支喘息における気道過敏性において,RhoAのゲラニルゲラニル化過程を抑制すると想定されるstatin系薬物であるlovastatinがRhoAの細胞膜移行を阻害することによって気道過敏性を抑制するのではないか,という作業仮説をたてた。実験結果として,lovastatinをin vivoで投与することによって,抗原反復チャレンジによって発現するラット気道過敏性をex vivoにおいて抑制することが判明した。その際RhoAの細胞膜への移行もlovastatinが抑制することも明らかとなり,statin系薬物が気管支喘息における気道過敏性の改善に有効である可能性を示唆した。3.Glucocorticoidsは抗原誘発時に気管支平滑筋においてみられるRhoA upregulationを抑制することにより,気管支喘息に有効性を示すことが示唆された。
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