2007 Fiscal Year Annual Research Report
内皮由来過分極因子(EDHF)の負の制御因子は-酸化窒素(NO)である
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18590250
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
籠田 智美 Mukogawa Women's University, 薬学部, 講師 (00291807)
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Keywords | 内皮由来過分局因子 / 一酸化窒素 / 内皮依存性弛緩反応 |
Research Abstract |
我々は、メタボリックシンドロームモデルラットであるSHR.Cg-Lepr^<cp>/NDmcr(SHR-cp)ラットおよびSHRSP.Zr-Lepr^<fa>/IzmDmcr(SHRSPZF)ラットを用いた検討により、メタボリックシンドローム発症時に腸間膜動脈における内皮依存性弛緩反応が減弱していること、その機序として平滑筋におけるNOに対する反応性の低下およびEDHFを介した弛緩反応の減弱(弛緩反応性および膜電位変化の低下)が関与するごとを明らかとしてきた。このことは、メタボリックシンドロームの状態では、NOおよびEDHFはともにその機能が低下しており、お互いを補足し合う調節機構も破綻していると考えられた。そこで本年度は、薬物治療を行うことによりこのような調節機構の破綻が改善されるか否かを検討した。 今回は、治療薬として、臨床で汎用される治療効果の異なる3種の薬剤を選択した。すなわち、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬およびインスリン抵抗性改善薬を、SHR-cpラットまたはSHRSPZFラットに1日1回2ケ月間経口投与した。薬物処置後、各動物より腸間膜動脈を摘出し、NOおよびEDHFを介する内皮依存性弛緩反応性を検討した。その結果、SHR-cpラットおよびSHRSPZFラットのいずれのメタボリックシンドロームモデルラットを用いた場合においても、アシギオテンシII受容体拮抗薬の処置によってのみ、血管弛緩反応の減弱が改善された。また、内皮依存性血管拡張反応に寄与するNOおよびEDHFの割合においては、アンギオテンシII受容体拮抗薬投与により正常動物WKYに匹敵する程度にまで改善されることが明らかとなり、補足調節機構の回復が認められた。 以上の結果、メタボリッ.クシンドローム発症時に生じる血管拡張機能障害の予防・改善に対し、アンギオテンシンII受容体拮抗薬の処置が効果的であることが示された。
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Research Products
(10 results)