2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ca2+輸送体欠損マウスを利用した血管・神経形成のCa2+情報伝達機序の解析
Project/Area Number |
18590251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 講師 (20300973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 勇二 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (30202724)
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Keywords | Na^+ / Ca^<2+>交換輸送体 / イオントランスポーター / 血管新生 / eNOS / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
本研究は、NCX遺伝子欠損マウスを利用して、血管・神経形成におけるNa^+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX1およびNCX2)の機能ならびにCa^<2+>情報伝達系の役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、NCX1遺伝子欠損マウスのヘテロ接合体(NCX1^<+/->)を用い、マウス虚血下肢に誘導される血管新生について解析した。具体的には、NCX1^<+/->マウスおよび野生型マウスを用いて下肢虚血モデルを作製し、レーザードップラー画像血流計により下肢血流量の回復を経時的に観察した。また、一部のマウスに、Lipo-PGE1製剤を虚血時より7日間尾静脈内投与した。その結果、NCX1^<+/->マウスの虚血下肢では野生型マウスの同処置部位に比べて血流回復が有意に速いことが判明した。一方、両者のマウスにLipo-PGE1を投与すると血流回復が亢進(血管数の増加)したが、その程度は両マウス間で同程度であった。この時、Lipo-PGE1投与群の下肢骨格筋では、VEGFおよびphospho-Akt発現量の増加が認められた。さらに、これらの作用にeNOSが関与することを検討するため、NO合成阻害剤であるL^G-nitro-L-arginine metylester(L-NAME)を4週間投与したところ、NCX1^<+/->層マウスおよびLipo-PGE1投与群における血流回復亢進(血管新生促進作用)は抑制された。これらかの結果から、マウス下肢虚血モデルにおいて、NCX1はeNOSを介した血管新生促進作用に関与している可能性が考えられた。
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