2007 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン産生細胞の自己複製におけるReg蛋白質とその受容体の関与
Project/Area Number |
18590255
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
那谷 耕司 Iwate Medical University, 薬学部, 教授 (90202233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 伸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50187944)
野口 直哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20333792)
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Keywords | 再生医学 / 移植・再生医療 / 糖尿病 / 遺伝子改変マウス / 膵β細胞 / Regファミリー / Reg受容体 |
Research Abstract |
本研究の目的はインスリン産生細胞の再生増殖因子Regファミリーに共通の受容体を欠失した々ウスを作製し、インスリン産生細胞の発生・分化、自己複製による形態・機能の維持、再生における役割を明らかにすることである。平成18年度の研究ではES細胞での相同組み換えを利用し、Reg受容体遺伝子の翻訳開始コドンを有するエクソンの両側にloxP配列を挿入したノックインマウスを作製した。このマウスを、受精卵でCre recombinaseを発現するトランスジェニックマウスと交配し、Reg受容体遺伝子を全身でヘテロに欠損するマウス(ヘテロ欠損マウス)を得た 1)ヘテロ欠損マウスは正常に生まれ、体重の増加、随時血糖値、主要臓器の形態は野生型マウスと差がなく、耐糖能も正常だった。 2)ヘテロ欠損マウス同士を交配しホモ欠損マウスを作製したところ、ホモ欠損マウスは胎齢8.5〜9.5日で致死になることが明らかとなった。 3)7-11週齢のマウスの膵臓を70%切除し、切除後2日〜8週の残存膵のインスリン陽性細胞のBrdU取り込み、PCNA陽性率を検討した。ヘテロ欠損マウスのBrdU取り込みは術後2日〜8週の全期間にわたり野生型マウスに比し63-80%に有意に低下していた。またPCNA陽性細胞率も術後2日〜8週で野生型の52〜74%と有意に低下していた。 膵β細胞の再生にはβ細胞の自己複製と非β細胞からのneogenesisがあるが、70%膵切除モデルではβ細胞の自己複製が中心であることが報告されている。70%膵切除モデルでReg受容体ヘテロ欠損マウスのβ細胞複製が野生型マウスより有意に低下していることから、Reg受容体がβ細胞の自己複製に重要であることがin vivoで示された。またReg受容体遺伝子ホモ欠損マウスが胎生致死であることから、Reg受容体を介するシグナルが正常の発生・分化、臓器形成においても重要な働きをしていることが示唆された。
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