2006 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼによる眼、脳神経系、腎臓及び心臓の発生制御の分子機構の解析
Project/Area Number |
18590258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10251448)
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Keywords | 胎盤 / 神経 / アダプター分子 / 細胞内シグナル伝達 / FGF / 心奇形 |
Research Abstract |
平成18年度は以下の結果を得た。 1.網膜、脳神経系、視神経、腎臓、心臓におけるFRS2α-Shp2 pathwayの解析 Shp2結合部位欠失FRS2α変異マウスは、心奇形を始めとするDiGeorge症候群と一致する表現形を持っているが、平成18年度の解析により、それら奇形が生ずる原因が、神経堤細胞の異常であることが明らかになった。神経堤細胞は、神経管の周囲より発生する幹細胞を起源とする細胞で、様々な組織へ遊走し、様々な組織の構成成分となるユニークな細胞群である。このことは、神経堤細胞を用いた再生医療が可能になれば、いろいろな疾病の治療に役立つことを示す。 2.初期発生における胎盤幹細胞及び内部細胞塊の未分化性維持機構についての解析 平成18年度に、FRS2α変異マウスを解析した結果、転写因子Cdx2が、胚盤胞内胎盤幹細胞内でBmp4の発現を直接転写レベルで誘導することにより、分泌誘導され、ES細胞を含む内部細胞塊の増殖を維持していることが明らかになった。 3.神経幹細胞、網膜幹細胞を含む組織幹細胞を大量培養し、再生医療に用いるための基礎実験 平成18年度に、FRS2α分子を神経幹細胞に導入すると、増殖が促進されるとともに、未分化性がよりよく維持され、質の高い神経幹細胞を長期間維持できることがわかった。本年度は、その分子機構を詳細に調べるとともに、実際に再生医療に用いるための基礎実験を進める。網膜の幹細胞についても、同様に実験を行う。
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