2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多久和 典子 金沢大学, 医学系研究科, 協力研究員 (70150290)
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Keywords | G蛋白共役型受容体 / スフィンゴシン / がん / 血管新生 / 細胞内情報伝達 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
1.培養血管内皮細胞SVEC4-10(S1P_2を内因性に中等度発現する)を用い、コラーゲングル内in vitro管腔形成におよぼすS1Pの作用を検討した。その結果、(1)S1PはSVEC4-10細胞のin vitro管腔形成を抑制すること、(2)S1P_2特異的阻害剤存在下でS1Pの抑制効果が阻害され、in vitro管腔形成が促進することを見出した。逆に、(3)S1P_2安定強発現SVEC4-10細胞では、S1Pの抑制効果が増強することが明らかとなった。これらの所見はS1P_2が血管新生を抑制性に制御することを強く示唆する。 2.C57BL/6(野生型)マウス側腹部皮下に血管新生を促す成長因子を溶解したマトリゲルを植え込み、マトリゲル内に生成するin vivo血管新生の程度を定量的に検討した。その結果、(1)S1Pは血管新生をそくしんすること、(1)S1P_2特異的阻害剤存在下で血管新生がさらに増強し、管腔が大きく、血管壁の厚い比較的成熟した血管が多数できること、マトリゲルのヘモグロビン含量も多いことが明らかとなった。血管新生を認めたマトリゲルにおいて、RT-PCRでS1P_2の発現を確認した。以上の所見は、S1Pは従来報告されているようにS1P_1、S1P_3を介して血管新生を促進するが、これに加えて、マウス皮下組織(あるいは末梢血中の血管前駆細胞)に発現する内因性のS1P_2を介して、逆に血管新生を負に制御することを強く示唆する。 3.C57BL/6(野生型)マウスを用い、大腿動脈絡紮後虚血により誘導される血管新生がS1Pの局所投与によりどのように修飾されるかを、ドップラー血流測定、内皮細胞マーカー免疫組織染色により検討した。その結果、虚血後血管新生、血流回復がS1Pの用量依存性に増大すること、S1Pの最大効果は強力な血管新生作用を持つ線維芽細胞成長因子と同等であることを見出した。この作用はS1P_2以外の受容体サブタイプを介するものと考えられた。
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Research Products
(5 results)