2007 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Oct-4のリン酸化と胚性幹細胞の性質維持との関連
Project/Area Number |
18590275
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
西本 正純 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (00265406)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 多能性 / リン酸化 / Oct-4 |
Research Abstract |
胚性幹細胞(ES細胞)は、多能性を持ち、また永久継代可能なことより、将来再生医療への材料として注目されている。ES細胞のこれらの性質維持にはオクタマーファクターに属する転写因子Oct-4(Oct-3、Oct-3/4とも呼ばれる)が必須であることが知られており、またOct-4が転写因子として機能する上で、協調的に働く転写因子が必要なことが知られている。なかでもSox-2との協調的な作用の重要性は特に知られており、これらOct-4/Sox-2複合体により発現が制御される遺伝子は数多く報告されている。なお、Oct-4によるES細胞の性質維持は他のオクタマーファクターでは代償しえず、Oct-4には他のオクタマーファクターにはない固有の生化学的性質があることが考えられる。そこで私はこの固有の生化学的性質を探るため、Oct-4とOct-6のキメラタンパク質を、Oct-4の代わりにES細胞に発現させ、Oct-4が機能する上で必須の領域の同定を試みた。その結果、オクタマーファクターのDNA結合ドメインのなかのスレオニン残基の重要性を示すことが出来た。さらにコンピューター上のシミュレーションにより、このスレオニン残基は、Sox-2と複合体を形成する際、Sox-2の塩基性アミノ酸が多く存在する領域と極めて近接する可能性が示された。この類推された構造上の特徴より、このスレオニン残基がリン酸化される可能性を考えた。そこで、(1)細胞内での32Pの取込み、(2)Mass-spectrometryを応用したリン酸化の有無の同定、以上2種類の方法により、実際にこのスレオニン残基のリン酸化の可能性について検討を加え、その結果Oct-4のリン酸化の可能性が示唆された。
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