2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼによるヘム分解中間過程とCOのガス状伝達物質としての意義
Project/Area Number |
18590278
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
野口 正人 Kurume University, 医学部, 教授 (10124611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (40352124)
坂本 寛 九州工業大学, 情報工学部, 准教授 (70309748)
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 准教授 (60271996)
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Keywords | 酵素 / 生体分子 / 蛋白質 / 有機化学 |
Research Abstract |
本年度は、ヘムオキシゲナーゼ(HO)反応について次のような知見を得た。 (1)ベルドヘム-HO複合体の結晶構造を2.2Aの分解能で得た。その全体構造は、ヘム-HO複合体と同様であり、ベルドヘムの遠位側には水分子とアミノ酸残基から構成される水素結合ネットワークが観測された。このネットワークは、ヘム-HO複合体やビリベルジン鉄錯体-HO-1複合体でも保存されている。このことから、α-ベルドヘムからビリベルジン鉄錯体への分解反応においても、この水素結合ネットワークが反応に必要なプロトンを供与する可能性が示唆された。 (2)ベルドヘムからビリベルジン-鉄錯体への転換反応には、ベルドヘムのオキサポルフィリン環が1e^-還元されたπ-neutral radical体が、中間体として関与する可能性が示唆されてきた。嫌気条件下でベルドヘムとHOの複合体を調製し、電気化学的還元を行なったところ、HO-1に結合したベルドヘムのオキサポルフィリン環に対する1e^-還元の還元電位として、-0.47Vを得た。この値とCPRの酸化還元電位の比較から、ベルドヘム環のCPR/NADPH系による還元は熱力学的に起こりにくく、ベルドヘム分解の初発過程は、環の1e^-還元ではなく、ヘム鉄へのO_2結合であると結論された。 (3)HOとCPR相互作用を質量分析法によって検討した。HOを無水酢酸でアセチル化すると、反応速度が著しく低下した。一方、CPR存在下でアセチル化したHOは、活性を維持していた。MALDI-TOFによって、アセチル化部位の同定した結果、HO単独でアセチル化した場合、HOの14個のリジン残基中11個がアセチル化されるのに対して、CPR存在下ではLys-149とLys-153が保護されていることがわかった。このことは、この2つのLysがCPRとの相互作用に重要であることが示唆する。
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Research Products
(17 results)