2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
竹永 啓三 千葉県がんセンター(研究所), 化学療法研究部, 研究員 (80260256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越川 信子 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 研究員 (90260249)
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 研究員 (20311384)
竹信 尚典 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 研究員 (60392247)
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Keywords | 癌 / 組織・細胞 / 低酸素 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
腫瘍内低酸素下のがん細胞では、主に低酸素誘導転写因子hypoxia-inducible factor(HIF)を介して様々な遺伝子の発現が変化することが知られている。最近我々は、低酸素下で損傷乗り越えDNA polymeraseιの発現がHIFを介して亢進されることを見出したが、本研究では、がん細胞の分化あるいはがん幹細胞の増殖・維持に係わる遺伝子の発現に対する低酸素の影響を検討した。まず、ヒト肺がん由来の腺がん細胞株A549及び扁平上皮がん細胞株QG56を低酸素下(1〜4%酸素濃度)で数日間培養し、1型肺胞細胞マーカーAQ5遺伝子、2型肺胞細胞マーカーSP-C遺伝子、クララ細胞マーカーCCA遺伝子の発現を検討したところ、A549細胞は主にSP-C遺伝子を、QG56細胞は主にAQ5とCCA遺伝子を発現しているが、低酸素下でこれらの遺伝子の発現が顕著に抑制されることが判った。次に、幹細胞関連遺伝子CD133、CD117、CD44、Notch1、Notch2、Oct-4、Nanog、Musashi-1、Nestinの発現をしたところ、低酸素下ではいずれの細胞株においてもCD133、Oct-4及びMusashi-1遺伝子の発現が増加することが判明した。これらの遺伝子発現の変化にHIFが関与するのかどうかを検討するために、HIF合成阻害剤を作用させたところ、いずれの遺伝子の発現変化も抑制されることが明らかになった。一方、細胞を浮遊細胞塊状態で培養するとCD133遺伝子の発現が増大し、低酸素下で培養するとさらに発現が増加した。これに伴い、分化マーカー遺伝子の発現がさらに減少した。細胞塊中で生ずる低酸素領域において遺伝子発現が変化していることが推察された。以上の結果より、低酸素下のA549及びQG56細胞ではHIFを介して脱分化が促進され、より幹細胞様の細胞に変化している可能性が推察された。
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Research Products
(1 results)