2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロセルピン遺伝子変異による家族性神経変性疾患モデルマウスの分子病態解析
Project/Area Number |
18590285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
平賀 紘一 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (40004733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 一郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (50250741)
川口 博 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (50361952)
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Keywords | ニューロセルピン / トランスジェニックマウス / G392E変異 / 神経細胞 / 変異タンパク質蓄積 / 神経変性疾患 / 疾患モデル / 封入体 |
Research Abstract |
本計画遂行に際して使用するヒトG392Eニューロセルピントランスジェニックマウス(G392E-Tgマウス)は、家族性痴呆症のモデル動物確立を目指して世界に先駆けて作製した貴重なモデル動物であり、2003年に作製した。ちなみに、4種のヒトニューロセルピン変異体がニューロセルピン封入体脳症(FENIB)患者から同定たが、G392E型患者は封入体量が最も多く、神経症状は激烈で発症時期も最も早い劇症型FENIBを起こす。また、抗ヒトニューロセルピン抗体はウエスタンブロット法では、ヒトニューロセルピンだけと反応しマウスのそれと反応しない。これらを鑑み、今年度の研究ではG392E-Tgマウスの病態を免疫化学的または免疫組織化学的に解析した。 G392E-Tgマウスは野生種マウスでは検出されない抗ニューロセルピン抗体陽性顆粒状沈着物を生後2ヶ月から中枢神経系全領域の神経細胞胞体に蓄積していた。この沈着物の性質を調べるため、G392E-Tgマウスを交配し、ホモ接合体型Tgマウス(G392E^<homo>-Tgマウス)の作成を試み、神経細胞中の抗体陽性沈着物量やその経時変化をヘテロ接合体型Tg-マウス(G392E^<hetero>-Tgマウス)やホモ及びヘテロ接合体ヒト野生種ニューロセルピンTgマウス(WT^<homo>-及びWT^<hetero>-Tgマウス)のそれらと比べた。 G392Eニューロセルピンは遺伝子量に比例し加齢と共に増加したが、野生種ニューロセルピンは殆ど蓄積しなかった。この間、G392EニューロセルピンmRNA量は同一種Tgマウス脳では加齢に依る増加は観察されなかった。 以上の観察結果は、我々が作成したG392E^<homo>-Tgマウスは遺伝子量、変異の存在、及び加齢に依存して、ニューロセルピン封入体脳症患者と同様に変異ニューロセルピンを神経細胞に蓄積することを示した。更に、この結果、次年度の研究で、神経学的異常、神経細胞死、及び封入体形成の有無と機構を調べることが可能になった。
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Research Products
(15 results)